『薬の文化誌』松井壽一著作、丸善株式会社

R4.11.16読書感想文

●選書理由

・医薬品の最新情報は多く出版されているが、歴史にフォーカスした本はあまり見かけないので手に取った。

●気になった箇所のまとめ

・昔、患部に草の葉などを当てると痛みが薄らぎ腫れが引いて症状が良くなり楽になるところから「薬」の漢字ができたとされている。

・因幡の白兎が「くすり」と関係があるとされる。出雲大社に伝わる伝説の一つに「奇すしき力を発揮することから、くすりというようになった」と言われている。

・最初の薬学者と言われるのがペダニオス・デオスコリデス(40〜90年)。ローマ皇帝ネロの時代です。彼は軍医として様々な国を旅行し、研究『マテリア・メジカ』という薬物学の書物を記した。薬物の鑑別法、調整法、貯蔵法、適応、用量、薬効などが詳しく記されている。

・医学・薬学の父と言われるガレンは約2000年以上前ローマ時代に活躍しました。医学・薬学に多大な影響を与えた人。彼は薬の調剤や保管する場所を「アポテック」と名付けた。後に「薬局」の意味の由来になったとされる。

・神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ2世が薬剤師の大憲章を制定し、薬剤師が誕生したとされる。医師は医療を、薬剤師は薬局に配置する。双方が金銭的な契約を結んではいけないなどの決まりがあり、現代の医薬分業の仕組みと類似する。毒殺されないように医師と薬剤師の仕事を分業したと言われている。

●感想

・世界史の授業ではクローズアップされにくいようで、初めて聞く登場人物が多かった。医業と薬の観点からまとめた本。今の医療になるまでの過程を歴史の観点から知ることができ、個人的には面白かった。

・薬に携わる者は薬や金銭に対する「正確さ」が街に住む人々との信頼関係を築いているのは、今も大昔もほぼ変わらないと思った。

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