なごみ薬局本店のご近所にオープンされましたので、ご紹介いたします。
たかとり内科
〒165-0034 東京都中野区大和町1丁目30-6
心から患者さんを元気にする薬局です。
【上高田勉強会共有】
2014年5月に販売開始された去勢抵抗性前立腺癌に対するイクスタンジ(エンザルタミド)カプセルについて、上高田店にて取り扱いがあり、勉強会開催がありましたので内容共有いたします。
■イクスタンジカプセル40mg
アンドロゲン受容体のシグナル伝達阻害作用を有する新規抗アンドロゲン剤
【適応:去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)】
→ホルモン療法が効かなくなっている状態
→イクスタンジ導入時期
→アンドロゲン除去療法(以下、ADT)施行後PSAが最低値(nadir)から25%以上かつ上昇幅として2ng/mL以上で患者への説明を開始
【イクスタンジの特徴(一般)】
・1日4カプセル(160mg/日)の服用が必要(何カプセル剤で長径21mmと大きい)
(→現在、錠剤への製剤化を試みている段階とのこと)
・発現頻度の高い副作用は疲労・倦怠感、悪心、食欲減退
(→化学療法と異なり、生化学的用量制限毒性が少ない)
・国際共同第Ⅲ相試験(PREVAIL試験)においてプラセボ群と比較し、OSを有意に延長し、死亡のリスクを29%低下させた(Kaplan-Meier法)
・PREVAIL試験においてプラセボ群に比べPSFを有意に延長し、画像診断上の病勢進行および死亡のリスクを81%低下した。
・1カプセル 2354.10円であり、一カ月当たり28万円ほどの費用がかかる
(→高額療養費適応)。
・ワーファリンとの相互作用があるため、抗血栓薬を使用する場合は腎排泄型のプラザキサ等への変更が必要
【イクスタンジの特徴(他剤比較)】
・食事の影響を受けない
・ステロイド併用の必要がなく、ステロイドによる副作用に制限されることがない
(→糖尿病を合併した患者さんにも使用可、骨粗しょう症の副作用がない)
・治療選択としてビカルタミドの代替となりえるポディショニング
(→OS延長のデータが他剤になく単純比較はできない)
【薬剤師としてできること】
・有用性の確認された用量での服用を継続できるよう、副作用の説明・管理
(CTCAE Grade2を呈する疲労、倦怠感、悪心・嘔吐、食欲不振発現時の治療コンサルタント)
・イクスタンジ治療抵抗性になった場合の次の治療の選択肢の共有
【感想】
・ホルモン依存性の癌種にはホルモン療法が著効し、化学療法で見られる血液毒性の頻度が低いことが特徴であることが分かった。特にイクスタンジの用量制限毒性は患者の主観的な事象も多く、薬剤師も治療継続に大いに寄与できると感じた。
・同種同効薬のある新薬は、承認取得のためには既存薬に勝るポイント(有効性、副作用の発現率低下、低コスト)が必要となる。イクスタンジは実臨床での使用成績を蓄積の上で更なるエビデンスが構築されると考えられる。
・地域の薬剤師は前立腺がんの1つのマーカーであるPSAのスクリーニングを早期に実施するよう健康な方への予防啓発で前立腺がんの早期発見、予防に寄与できる立場であると感じた。
今回は、これからの季節に向け、精油を用いた風邪予防・対策について報告します。
前回同様、NARD(ナードアロマテラピー協会)に準じた内容であり、NARDが定める条件を満たす精油(※)を用いた場合に限ります。
ちなみに、精油は医薬品ではなく、「効果がある」と表現することができないため、一般的には「作用がある」「有用」等の表現を使います。
※NARDが定める精油の4つの条件
①芳香植物から水蒸気蒸留法または圧搾法で抽出した芳香分子の集合体で、採油後に成分の添加や除去が一切行われていないもの。(ただし、ジャスミンとベンゾインはこの条件から外す。)また、採油国・採油時期・消費期限が印字されていること。
②化学的に検証を行い、分類した、ケモタイプ精油(ケモタイプ:形態的に全く同一で成分だけが異なる植物)であること。→植物学名が記載されている。
③日本国内で精油の分析を行い、そのデータを公開し、ロットごとの成分分析結果が確認できること。→芳香成分、屈折率、旋光度等の情報が記載された分析表(添付画像①)が添付されている。
④残留農薬について、検査していること。
風邪やインフルエンザというと、よく使われる精油は、ティートゥリー、ラヴィンツァラ、ユーカリ・ラディアタ(他にも様々あるが、今回はこの3種を紹介)。
それぞれの使い分けについてみていく前に、芳香成分類を電子座標で表したもの(添付画像②)を見ておくと理解の補助になる。
絶対ではなく例外もあるが、精油成分がもつ作用の概ねの傾向を把握することができる。
座標の上側は(-)に帯電した成分類で、鎮静作用のあるものが多い。→場合によっては日中使いが困難。
下側は(+)に帯電した成分類で、強壮作用を示すものが多い。→場合によっては夜には使いにくい。
左側は極性のあるもの(湿:有機化合物のうち、Oをもった親水性のもの)が多い。→肌なじみが良い。乾燥肌には保湿にもなる。
右側は無極性のもの(乾:CやHばかりからなり、疎水性、親油性)が多い。→肌にぴりっとくる可能性があり、植物油やジェルなどで十分に希釈する必要がある。むくみとりに良い。
一般的に、座標系の左下に属するもの(フェノールを含め、アルコール類)に抗菌活性が強い。確かに、「アルコールといえば消毒剤」というイメージはある。
中央下部にある酸化物類は、免疫調整・去痰作用があることから、感冒の予防・改善に使用される。
ツンとした香りのものが多く、元気付け的な印象(イメージとしては強壮、よって下部)。
それぞれの「~類」というのは母集団であり、その中にそれぞれ固有成分(例えばα-ピネン←モノテルぺン炭化水素類中の一成分、森林の香りと言われている)がたくさんある。
ちなみに、以前(3/2の投稿) 体質診断(50問に回答し、自分の体質を知る)について紹介した際、この電子座標系と体質分類座標(添付画像③)が重なり、体質の偏りを補うために、対角線上の分類に属する精油(添付画像④)を用いるとよいという話があったため、座標系に見覚えのある方もいらっしゃるかも?
●ティートゥリー(Melaleuca alternifolia フトモモ科、葉)
主な含有成分は、
モノテルペン炭化水素類:抗ウイルス作用(+++)、抗菌作用(++)
約46%(γ-テルピネン、α-テルピネン等)
モノテルペンアルコール類:抗菌・抗ウイルス・抗真菌作用、免疫調整作用(+++)
約43%(テルピネン-4-オール)
(※%はLot.ごとに変動する)
抗菌作用があり、様々な感染症の予防に効果的。
自生地オーストラリアの原住民であるアボリジニが、健康に欠かせない精油として昔から利用してきた。
モノテルペン炭化水素類という、精油成分の中では一番基本のもの(有機化合物として分子量が比較的小さい)の含有率が高く、分子量が小さい=空気中に漂いやすいため、皮膚塗布でなくても、ディフューズ(空気中への散布)でも有用。
●ラヴィンツァラ(Cinnamomum camphora CT(Cineole) クスノキ科、葉付き小枝)
※CT=ケモタイプ よって、上記は「シネオール成分が多いタイプ」の意味
主な含有成分は、
酸化物類:去痰・抗カタル(※)・抗ウイルス・免疫調整作用(+++)、抗菌作用(++)
約56%(1,8シネオール)
モノテルペン炭化水素類:抗ウイルス作用(+++)、抗菌作用(++)
約30%(α-ピネン、β-ピネン等)
モノテルペンアルコール類:抗菌・抗ウイルス・抗真菌作用、免疫調整作用(+++)
約10%(α-テルピネオール等)
※抗カタル作用:体内の過剰になった粘膜(特に鼻や咽頭など→痰、鼻水、鼻づまり)を
粘液溶解・排出させる作用
ラヴィンツァラには誘眠作用がある(座標系ではモノテルペン炭化水素類もモノテルペンアルコール類も下部にあるため、鎮静より強壮系のはず…?と、こういうところが例外)
ため、日中使いは避けたい。眠前使用向き(不眠対策にも使われる精油)。
植物油等で希釈しての皮膚塗布、ディフューズいずれもOK。
本精油は抗ウイルス作用と、特に免疫刺激作用が強いため、風邪をひきたくない時、つまり予防(インフルエンザも含め)に向いている。
更に、抗カタル作用は酸化物類にしかなく、実際に症状が出ている時の使用(回復に向けて)にも向いている。
禁忌・注意事項なし。
●ユーカリ・ラディアタ(Eucalyptus radiate ssp. Radiate フトモモ科、葉)
※ssp.=亜種
主な含有成分は、
酸化物類:去痰・抗カタル・抗ウイルス・免疫調整作用(+++)、抗菌作用(++)
約70%(1,8シネオール)
モノテルペン炭化水素類:抗ウイルス作用(+++)、抗菌作用(++)
約15%(リモネン等)
モノテルペンアルコール類:抗菌・抗ウイルス・抗真菌作用、免疫調整作用(+++)
約10%(α-テルピネオール等)
ちなみに、コアラが食べているユーカリとは異なる品種。
酸化物類の比率が高く、抗カタル・去痰作用に特に優れることから、風邪をひいたりインフルエンザにかかったりして症状が続き、苦しい時向き(もちろん予防にも使えるが)。
痰のからまる咳を鎮める作用もある。
植物油等で希釈しての皮膚塗布、ディフューズいずれもOK。
禁忌・注意事項なし。
つまり、予防:ティートゥリー → 症状出始めの眠前:ラヴィンツァラ → 症状が続く時:ユーカリ・ラディアタ と使い分ける。
鼻づまりのある時には、抗カタル作用のある成分を含む精油をマスクの内側に塗布して使うとよい。
もちろん、絶対にこの使い分けをしないといけないわけではないが、抗生剤と同じように、同じ精油を長期使用継続することで耐性菌が出る可能性もあるため、1つ1つが長期化しないように使い分けることが推奨される。
また、これは医療機関に受診する前のセルフケアの話であり、医薬品でないとできないこともあるため、症状が重く・つらくなる前に医療機関を受診することが望まれる。
画像①:分析表 画像②:芳香成分類 電子座標系
画像③:体質分類座標 画像④:座標上の精油の分類
※④について、ほぼ単一の成分のみの精油もあれば、複数種の「~類」で構成され、かつそれぞれの類の中に更に複数種の成分をもつ精油もあるため、後者では座標上の分類が難しくなる。その場合、含有比率の大きい類が属する座標上の位置で記載されている。
代表の渡邊 輝です。今回は、私自身も相談されることが多い、「服薬拒否への対応」について教科書にまとめてみました。
現在なごみ薬局本店では薬学部5年生の学生に実習を行っております。
大学における事前実習で十分な知識、技能、態度を習得し更なる医療の質の向上に貢献できる薬剤師の養成を目指しております。
実習にあたり、患者さんをはじめ関係者の皆さまにご協力をお願いすることがありますが、ご理解のほど宜しくお願いいたします。
尚、話し声や対応など気になることがございましたらお申し付けください。
社内で共有されているものを一部共有いたします。
現在定期的にメディカルアロマの講義を受けているため、講義内容を概論として報告させていただきます。
後半部分は少しばかり医薬品とからめた内容にしてみましたので、お時間のある時にご一読いただければと思います。
アロマに関しては複数の協会が存在し、それぞれに定義や使用に関する制限が異なります。
この報告は基本的にNARD JAPAN(NARD:Natural Aromatherapy Research and Development/NARDの代表は薬学博士です)に則した内容です。
<アロマテラピーとは>
植物精油や植物油、ハーブウォーターを用いた、健康管理法及び療法
※イギリスでは主に美容やリラクゼーションを中心に、精油を植物油などで低濃度に希釈し、トリートメント用オイルとして使用。
フランスでは医療や治療に、1%程度~高濃度まで、皮膚塗布や経口摂取、坐薬、吸入などの方法で使用。
<精油とは>
芳香植物から抽出した芳香分子の集合体
<アロマテラピーで用いる精油の条件>
~NARD JAPANの条件に合致するケモタイプ精油~
1 植物名(学名)、採油方法、採油部位が明らかであること。
2 芳香成分、残留農薬、屈折率、比重、旋光度について、ロットごとに国内で分析・検査され、結果に問題のないことが確認されており、その結果を公開しているもの。
3 成分の添加や除去を一切行っていない精油を使用。
※つまり、科学的に検証されたものであり、必ず「ケモタイプ精油成分分析表」が添付された状態で販売されている。医薬品に添付文書があるようなもの。
成分の添加や除去を一切行っていないからこそ、原料が自然のものである影響から、同じ精油でもLotにより記載されている数値が若干異なる。
<採油方法>
1 水蒸気蒸留法 ← 多くはこの方法
2 圧搾法 ←柑橘系の果皮からはこの方法がメイン
3 その他の抽出方法(有機溶剤) ← Ex.)ジャスミン
<精油の物理的特徴>
・芳香性
・高濃度・揮発性:放置しておくと蒸散する
・親油性:原則として油に溶ける(水には溶けにくい)
・比重が軽い:原則として比重が1以下
・有機化合物である(C=炭素 を含むもの)
・常温で液体である
<抽出部位>
同じ植物でも、抽出部位により異なる精油が採油される
Ex.) Citrus aurantium ssp.amara←ミカン科の植物「オレンジ・ビター」
花から:ネロリ ←甘く優雅な香り
果皮から:オレンジ・ビター ←甘さの中にも苦味を感じられる深い香り
葉から:プチグレン ← フレッシュで爽やかな香り
<精油の保管>
・直射日光の当たる場所を避け、風通しの良い冷暗所に保管する
・遮光性のあるガラス瓶に入れ、立てて保管する(プラスチックを溶かすため)
・使用後はしっかりと蓋を閉める(揮発性があるため)
・火のそばに置かない(引火性があるため)
・子供やペットの手の届かない場所に保管する
・消費期限内に使用し、開封後は使用期限にかかわらず早めに使い切る
※開封後の使用期限目安
柑橘系果皮の圧搾:半年、その他:1年
<香りが体に与える影響>
・嗅覚から脳を通して:大脳辺縁系(大脳の内側に存在し、食欲や性欲等本能的な活動を担う)に直接伝わる
・皮膚塗布によって、局所・全身に:浸透(表皮中の角質層に浸み込むこと)だけにとどまらず、吸収(皮膚表面から真皮まで入っていくこと)される
→血管に入る:一般的に分子量500以下
※一般的に化粧品(薬用化粧品を除く)の浸透は角質層(表皮)までとされているため、基礎化粧品でどうこうしようとするよりは、皮膚収斂作用のある精油をスキンケアに用いた方が効果的とされる考え方がある。
<濃度計算>
・1滴 約0.05mL
・10%未満の場合:全量5mLでは、精油濃度を1%にするには、1滴必要
・10%以上の場合:全量5mLでは、精油濃度10%にするには、10滴必要
→溶媒は4.5mL使用
※もちろん、溶液の種類(粘度)によって1滴量は異なるが、おおよそ1滴0.05mLと知っておくと、医薬品への考え方応用が可能。5mL瓶で約100滴ということ。
Ex.)チモプトール(5mL/本):1日2回 → 両眼への使用なら、1本約25日分
キサラタン(2.5mL/本):1日1回 → 同上
<キャリアオイル(ベースオイル)の目的>
1 精油を希釈して、作用を穏やかにする
2 精油の揮発を抑え、持続性を高める
3 キャリアオイルそのものが持つ効果を利用する
Ex.)ローズヒップ油(抗炎症作用を期待して、アトピー肌に使用)
セントジョンズワート油(鎮静・抗炎症作用を期待して、日焼けの改善に使用)
<主な精油>精油名:主成分名
・シナモン・カッシア:ケイ皮アルデヒド→加温作用、強い抗菌作用
※ケイ皮アルデヒドについて、薬学部の生薬の授業で「生八つ橋のニッキの匂い」と
教わっているのでは?(シナモンとニッキは産地や使用部位が異なるようだが、香りのイメージとしては似ている)
・カモマイル・ジャーマン:カマズレン→抗炎症作用
※カマズレンはアズレン誘導体。とすると、アズノールうがい液・アズノール錠・咳嗽用ハチアズレ顆粒(アズレンスルホン酸ナトリウム水和物)やアズノール軟膏(ジメチルイソプロピルアズレン)と同じく抗炎症作用があること、青色であることに納得。
・ウィンター・グリーン:サリチル酸メチル→鎮痛・抗炎症作用
※サリチル酸メチルは、医療用のMS冷シップ・温シップや、市販薬でもサロンパスに含有される成分。台湾土産の定番「グリーンオイル」にも入っている。
・クローブ:オイゲノール→鎮痛・麻酔作用
※チョウジ(クローブの和名)から抽出されるオイゲノールは、恐らく薬学部の生薬の授業で「歯医者の匂い」と習ったのでは?
・ユーカリ・レモン:シトロネラール→昆虫忌避作用(蚊)
※本店にある虫よけスプレーの裏面表記をご覧ください。「シトロネラ」とあります。
「シトロネラ」精油の主成分もシトロネラール。
・フランキンセンス(キリスト生誕時に東方の三賢者が持参した供物の1つ:乳香)
・ミルラ(同上:没薬→ミイラ作りに使用された防腐剤)
<禁忌、注意事項>
・光毒性(フロクマリン類の成分を含有する精油):レモン、ベルガモット等
※化粧水や美容オイルとして体に塗布する場合はもちろん、ルームスプレーとしてカーテンにスプレーする場合も、使用時間帯に注意。
医薬品ではモーラステープ(ケトプロフェン)で光線過敏症が知られている。
・堕胎作用(流産惹起作用):ペパーミント、ラベンダー・スピカ等(ラベンダー・アングスティフォリアには禁忌なし)
・エストロゲン様作用(ホルモン依存型癌疾患、乳腺症等に×):クラリーセージ
・アスピリンアレルギーの人:ウィンターグリーン
※サリチル酸メチルを多く含むため。
アスピリンは別名「アセチルサリチル酸」であり、アセチルサリチル酸もサリチル酸メチルも、共にサリチル酸から合成される。つまり骨格が似ている。
・要希釈:クローブ(主成分オイゲノールはフェノール類であり、皮膚を荒らす危険等があるため)
なごみ薬局は新卒採用をはじめました!
採用情報はこちらから。
https://pharma.mynavi.jp
https://job.mynavi.jp/conts/2018/tok/yak/index_v.html