「育ちがいい人」だけが知っていること

【読書感想文】

諏内えみ 著

●読んだ理由

以前より「育ちの良さ」を感じる振る舞いができる人は素敵だと感じており、この本を見つけた際に興味が湧いたため。

●内容紹介(業務に活かせそうな箇所の一部抜粋)

・「育ちの良さ」は一部の選ばれた人だけが持つものではなく、マナー以前のちょっとした所作や言葉遣いを知っているかいないかだけのこと。

・ご挨拶は、いったん立ち止まって

わずかな時間でも、相手の顔をしっかり見て、ご挨拶をする。今、目の前にいる方を大切にしているという気持ちが伝わる。

・受け渡しは、いつ何時でも両手で

両手で渡すのが無理な体勢の時も、届かないまでも片手を添えるような仕草によって、相手や品物を大切に思う気持ちが伝わる。

・若者言葉、流行り言葉を使わない

普段使っている言葉は、大事な場面でもつい出てしまう。言葉遣いで、育ちや人間性をはかられてしまうこともあると、心に留めておくこと。日常の会話でも美しい言葉を選びたいところ。

・「すみません」は使わない

謝罪や依頼、感謝など、便利ではあるが、どんな意味にもとれる曖昧な言葉。相手に気持ちが伝わりにくく、丁寧さに欠ける印象。

感謝なら「ありがとうございます」、依頼なら「お願いします」、謝罪なら「申し訳ありません」など、的確に気持ちを表現する言葉を。

・素敵な女性は「大丈夫?」より「大丈夫よ」

同じ「大丈夫」でも「大丈夫!?」とあわてて問いかけるのではなく、「大丈夫」と相手を安心させるような落ち着いたニュアンスで。ハプニング時に、なるべく相手に恥ずかしい思いをさせないようにという心配りが大切。

●感想

・「育ちが良い」所作や話し方、ふるまい方について、所々にエピソードを交えながら、簡単な言葉で紹介されているので、あまり読書をしない私でも手に取りやすかった。

・当たり前のように感じることでも「本当にできているのか?」を振り返るきっかけになった。

・業務にあまり関係ないため、内容紹介での記載は省略したが「季節の行事を愉しむ」「暦に敏感になる」「季節感を大切にした装いができる」等、日々の暮らしを大事にすることを意識した項目が多いと感じた。

・心の余裕と周りへの配慮を大切に、毎日を丁寧に生きることは、心の豊かな素敵な人になるための第一歩だと学んだ。

・すぐに全てを実践するのは困難だが、頭の片隅に留めておき、気付いた時に意識を向けてみることで、少しずつでも良い方向へ成長していきたいと感じた。

『薬の文化誌』松井壽一著作、丸善株式会社

R4.11.16読書感想文

●選書理由

・医薬品の最新情報は多く出版されているが、歴史にフォーカスした本はあまり見かけないので手に取った。

●気になった箇所のまとめ

・昔、患部に草の葉などを当てると痛みが薄らぎ腫れが引いて症状が良くなり楽になるところから「薬」の漢字ができたとされている。

・因幡の白兎が「くすり」と関係があるとされる。出雲大社に伝わる伝説の一つに「奇すしき力を発揮することから、くすりというようになった」と言われている。

・最初の薬学者と言われるのがペダニオス・デオスコリデス(40〜90年)。ローマ皇帝ネロの時代です。彼は軍医として様々な国を旅行し、研究『マテリア・メジカ』という薬物学の書物を記した。薬物の鑑別法、調整法、貯蔵法、適応、用量、薬効などが詳しく記されている。

・医学・薬学の父と言われるガレンは約2000年以上前ローマ時代に活躍しました。医学・薬学に多大な影響を与えた人。彼は薬の調剤や保管する場所を「アポテック」と名付けた。後に「薬局」の意味の由来になったとされる。

・神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ2世が薬剤師の大憲章を制定し、薬剤師が誕生したとされる。医師は医療を、薬剤師は薬局に配置する。双方が金銭的な契約を結んではいけないなどの決まりがあり、現代の医薬分業の仕組みと類似する。毒殺されないように医師と薬剤師の仕事を分業したと言われている。

●感想

・世界史の授業ではクローズアップされにくいようで、初めて聞く登場人物が多かった。医業と薬の観点からまとめた本。今の医療になるまでの過程を歴史の観点から知ることができ、個人的には面白かった。

・薬に携わる者は薬や金銭に対する「正確さ」が街に住む人々との信頼関係を築いているのは、今も大昔もほぼ変わらないと思った。

調剤薬局 薬剤師の新卒入社日記⑨

〜新型コロナウイルス感染症かもしれないと思ったら〜

※なごみ薬局の店舗がすべて東京都にあるため、今回は東京都での対応についての記載が多くなりますがご了承ください。

※「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」、東京都福祉保健局、厚生労働省での情報も合わせてご覧ください。

①症状が出たら

・よくみられる症状:発熱、咳、喉の痛み、体のだるさ

・かかりつけ医へ直接向かわず、まず電話します。

・かかりつけ医がいない時は発熱外来を実施する医療機関へ電話します。わからない時は「東京都発熱相談センター(24時間・毎日)」へ電話すると良いです。

※いつから症状が出始めたか、できれば覚えておくと、万が一陽性と診断された時に療養期間の予定の参考になります。

「東京都福祉保健局 相談窓口」

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/soudan/index.html

②検査キットで検査する

(1)自宅で検査

・厚生労働省から一般抗原検査キット(OTC)として承認された製品のリストがあるのでご参照ください。薬局やインターネットで購入可能です。体外診断用医薬品または第1類医薬品と表示されている製品を選びましょう。

・鼻腔ぬぐい、唾液採取があります。検体を採取しやすい方を選ぶと良いです。

「新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27779.html

・東京都では抗原定性検査キットを無料で配布しています。喉の痛み、発熱、咳、倦怠感等の症状が発現した際、医療機関の受診前に使用するためのものです。

※待機や療養の早期解除目的ではないのでご注意ください。

○新型コロナを疑う症状がある(申し込み時点で既に発熱等の症状がある)

→正午までの申し込みで翌日お届け、2回まで申し込み可能です。

○無症状の濃厚接触者

→申し込みから約2〜3日でお届け、4回まで申し込み可能です。世帯申込可能です。

「東京都福祉保健局 抗原定性検査キットの配布について」

https://tokyo-testkit.metro.tokyo.lg.jp/

(2)医療機関で検査

・医療機関へ直接向かわず、連絡を取り医療機関の指示に従います。場合によっては保険証等が必要です。

③国の承認を受けた検査キットでの結果が陽性疑いだった・医療機関で陽性の診断を受けた

・保健所へ発生届対象、発生届対象外で変わります。

(1)発生届対象

・65歳以上、入院が必要、コロナウイルス治療薬や酸素投与が必要、妊婦の方

・保健所からの指示を仰ぎます。

(2)発生届対象外

・65歳未満、入院を要しない、コロナ治療薬や酸素投与が必要ない、妊娠していない方

・東京都陽性者登録センターへ登録申請します。申請内容の確認(診断)後、結果がメール又はSMSで通知されます。

・希望者は支援を受けられます。

○「My HER-SYS」:スマホやPCで健康状態を入力します。保健所からのフォローアップが可能です。

・新規登録:「My HER-SYS」を検索する。メールアドレス、パスワード設定しアカウント登録します。

・利用方法:「現在の健康状態を入力する」をタップします。対象者を選択、熱、酸素飽和度(SpO2)、症状(いいえ・はい・不明から選択)、その他保健所への連絡事項があれば記入し、送信します。登録後1日1回入力用フォームが送信されます。

○食料品の配送:知人や同居人から買い物の支援が受けられない、インターネット販売や宅配サービスが受けられない方が対象です。My HER-SYSから支援要請可能です。当日に宅配業者から事前連絡があり、置き配で受け取ります。

○パルスオキシメーターの貸与: My HER-SYSから支援要請可能です。

○都の宿泊療養施設への入所の案内。My HER-SYSから支援要請可能です。

・自宅療養中に体調不良、不安ごとなどの相談窓口があります。

「自宅療養サポートセンター(うちさぽ東京)」

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/uchisapo_tokyo.html

調剤薬局 薬剤師の新卒入社日記⑧

〜りんごジャムを作りました〜

少しずつ寒くなり、12月並みの気温になる日もちらほら出てきました。

先日、スーパーで大袋に入ったりんごが美味しそうだったので購入しました。後先考えず買ってしまったので一部はそのまま食べて、残りはジャムにしようと考えました。ジャムは初めて作るので、作り方を早速検索してみました。りんご以外に塩、レモン汁、砂糖があればジャムが作ることができるようです。作り方はまずりんご(2個)の皮を剥きいちょう切りにします。変色を防ぐために塩水に浸します。塩水を切って鍋にりんご、砂糖(りんご量の20〜30%程度)、レモン汁(大さじ1程度)を入れ火にかけます。沸騰したら灰汁をとり、30分程度弱火にかけます。リンゴが焦げないように時折混ぜます。トロトロしてきたら火を止め、熱が冷めてきたら完成です!好みの甘さやりんごの種類によって砂糖やレモン汁の量が変わるそうなので、詳しく知りたい方は検索していただくと良いと思います。今回は「紅玉」という品種のりんごを使用しました。やや酸味があるのが特徴です。

 ちょうど今弱火にかけ少し待ち時間ができたので、ここでりんごの栄養についてお話しします。イギリスの諺で「1日に1個のりんごは医者を遠ざける(An apple a day keeps the doctor away.)」と言われる果物です。皮付きりんご100gのうち83.1%は水分、カリウム120mg、食物繊維1.9g(水溶性0.5g 不溶性1.4g)含まれています※1

カリウムは必須ミネラルの一種であり、人体ではほとんどが細胞内に含まれています。細胞内液の浸透圧を調整したり、ナトリウム排出し血圧の上昇を抑制したりする働きがあります。また神経伝達、筋肉の収縮にも関わっております。日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、生活習慣病の予防を目的とした成人1日あたりのカリウム目標量は男性3,000mg以上、女性2,600mg以上とされています。カリウムは腎機能が低下した方は1,500〜2,000mgもしくはそれ未満が目安となることがあり、注意が必要です。腎臓からカリウムが排出されず体内に蓄積されると高カリウム血症(悪心、しびれ感、嘔吐、不整脈等)の症状が見られます。

 水溶性食物繊維であるペクチンはりんごの果肉や柑橘類の皮に多く含まれ、整腸作用やコレステロールの低下作用があると言われています※2。ペクチンは粘性を持つ多糖類であり、食品ゲル化剤として用いられています。またカルシウムイオンと反応すると液体をゲル化させる作用を持つため、医薬品業界では経腸栄養剤(流動食)の逆流防止目的、下痢を防ぐ目的として使用されることもあります※3

さて、いよいよジャムが完成しました!あとは粗熱を取るだけです。料理がさほど得意でない私でも上手く作れたと思います。パンに塗ったら美味しいかな、、あ、パンがない!それならヨーグルトと一緒に、、ヨーグルトもない!ということでパンとヨーグルト買ってきます!

 

 参考文献

※1)https://www.aomori-ringo.or.jp/component/

※2) https://hfnet.nibiohn.go.jp/

※3)http://www.peg.or.jp/paper/article/semi-solid/31.html

調剤薬局 薬剤師の新卒入社日記⑦

〜外用剤の似ている薬をまとめてみました〜

 薬局は全国の病院の院外処方が受付可能であり、同種同効薬や類似薬を知ることができます。病院の院内処方は採用薬が決まっていることが多いため、これは薬局の特徴だと思います。今まで見てきた薬の中で使い分けや違いがわからなかったものを書いていこうと思います。今回は外用剤をまとめました。

外用剤

  • 白色ワセリンとプロペト

○共通事項

・ワセリンとは天然物由来(石油)の原料から得た炭化水素類の混合物を脱色して精製した製剤。

・精製度の低い順に石油→黄色ワセリン(軟膏基剤)→白色ワセリン→プロペトとなる。

・両者とも1g中に白色ワセリン1g含有する。

〇白色ワセリン

・寒暖によって粘稠度が変わらない。光、湿気の酸敗することが少ない。

・軟膏基剤、皮膚保護剤として用いる。「ケンエー」は眼軟膏用基剤としても用いられる。

・創傷面の乾燥を防止し、皮膚を保護する。

〇プロペト

・白色ワセリンより稠度が大きく、粘度が低く、降伏値が小さく、展延性が大きい。(軟らかく、粘り気が少なく、塗り延ばしやすい。)

・眼軟膏用基剤として用いられる。 

・皮膚保護・柔軟作用、痴皮(かさぶた)の軟化・脱落作用、肉芽形成促進作用がある。患部の乾燥を防止する。

  • 亜鉛華軟膏と亜鉛華(10%)単軟膏

〇亜鉛華軟膏

・酸化亜鉛200g(20%含有)、流動パラフィン、白色軟膏適量を含有する。

・白色軟膏は白色ワセリン(油脂性基剤)に界面活性剤を添加しており、吸水作用を有する。従って滲出液が多い部位に用いる。

○亜鉛化(10%)単軟膏

・酸化亜鉛100g(10%含有)、単軟膏を含有する。

・単軟膏はミツロウ、ダイズ油、ジブチルヒドロキシトルエンを含有する油脂性基剤であり、吸水性を有さない。従って滲出液の少ない部位に用いる。また皮膚乾燥や発赤・掻痒感が生じることがあるため、長期使用する場合は亜鉛化(10%)単軟膏を用いることがある。

参考文献:健栄製薬HP https://www.kenei-pharm.com 

マルホ医療関係者向けサイトhttps://www.maruho.co.jp/medical/articles/topicalagent_basics/base/01.html

  • アズノールうがい液とイソジンガーグルうがい液

○アズノールうがい液

・アズレンは創傷治癒促進作用、消炎作用を有する。咽頭炎、扁桃炎、口内炎、急性歯肉炎、舌炎、口腔創傷に用いる。

・水100mLにアズノール5〜7滴を希釈する。

・炎症部位に薬が接触するようにうがいする。例えば口内炎の場合は口内を、喉が腫れている場合は喉の奥でうがい。

○イソジンガーグルうがい液

・ヨウ素は細菌・ウイルス感染予防・殺菌作用を有する。咽頭炎、扁桃炎、口内炎、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防、口腔内の消毒に用いる。

・目安として水100mLにイソジン5mL(小さじ1杯)を薄めると20倍希釈となる。

・口、喉全体を30秒以上うがいする。

①②③参考文献:添付文書、インタビューフォーム

調剤薬局 薬剤師の新卒入社日記⑥

〜内服薬の似ている薬をまとめました〜

 薬局は全国の病院の院外処方が受付可能であり、同種同効薬や類似薬を知ることができます。病院の院内処方は採用薬が決まっていることが多いため、これは薬局の特徴だと思います。今まで見てきた薬の中で使い分けや違いがわからなかったものを書いていこうと思います。今回は内服薬に焦点を当てましたが、次回は外用剤をまとめる予定です。

  • ビオフェルミンとビオフェルミンR

○共通事項

・両者ともビフィズス菌。腸内で乳酸や酢酸を産生し、腸内細菌の正常化をはかる。

○ビオフェルミン

・ビフィズス菌。市販薬がある。

○ビオフェルミンR

・耐性乳酸菌。「R」は「Resistance」が由来。抗生剤投与時においても増殖製に優れる。添付文書ではペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、テトラサイクリン系、ナリジクス酸と併用。ビフィズス菌や乳酸菌は胃酸に弱い。食後であればpH4~5へ上昇するため、乳酸菌は死滅することはなく腸へ移行する。

  • ワントラムとトラマールOD

○共通事項

・非オピオイド鎮痛剤で治療困難な疼痛を伴う各種がん・慢性疼痛に使用。

・MAO阻害薬(セレギリン、ラサギリン、サフィナミド等)は併用禁忌。セロトニン症候群(錯乱、発熱、発汗等)を含む中枢神経系(攻撃的行動、痙攣等)、呼吸抑制、低血圧、高血圧の重篤な副作用が報告されている。

○ワントラム

・徐放性製剤(フィルムコーティング錠)のため1日1回投与。

・高度な腎機能障害、高度な肝機能障害のある患者は禁忌。

○トラマール

・通常、1日4回投与。

・腎機能障害、肝機能障害のある患者は慎重投与。

  • エンシュア・リキッドとエンシュア・H

○共通事項

・半消化態栄養剤。最終段階まで分類されていないタンパク質等から構成させている。腸管での消化が必要となるため、胃・腸管の運動機能がある方に使用。

・牛乳由来のカゼインが含有されているため、牛乳アレルギー患者は控える。

・妊娠3ヶ月以内または妊娠を希望する婦人はビタミンAを5000IU/日以上投与の場合、投与禁忌となる。

○エンシュア・リキッド

・手術後の栄養保持、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給として使用。

・250kcal/本。

・香料の違いによりバニラ(バニリン、エチルバニリン、プロピレングリコール)、ストロベリープロピレングリコール)味の2種類。

○エンシュア・H

・手術後の栄養保持、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給。また、心不全や腎不全等を合併しており水分制限が必要、熱傷・感染症等による安静時エネルギーが高い、経管栄養の投与量を減らしたい、慶長栄養剤の投与期間の短縮が望ましい場合に使用。

・タンパク質や電解質の厳密な制限が必要な急性腎炎、ネフローゼ、腎不全末期患者に禁忌。

・悪心、嘔吐、下痢を合併する心不全患者に禁忌。

・375kcal/本であり、エンシュアリキッドより1.5倍高カロリー。

・香料の違いによりバニラ、コーヒー(バニリン、エチルバニリン、プロピレングリコール)、黒糖、バナナ(バニリン)、メロン、ストロベリー(プロピレングリコール)、抹茶(バニリン、プロピレングリコール)味の7種類。

  • ボノサップパック400と800

○共通事項

・服用タイミングの規定はないが、アモキシシリンは時間依存性の抗生物質のため12時間ごとを勧める。

・軽い下痢の場合は服用を中止せず7日間服用を続ける。ただし発熱、腹痛を伴う下痢、下痢に血液が混ざっている場合は中止し受診する。

○ボノサップパック400

・ボノプラザン40mg、アモキシシリン1500mg、クラリスロマイシン400mg。

○ボノサップパック800

・ボノプラザン40mg、アモキシシリン1500mg、クラリスロマイシン800mg。喫煙者ではクラリスロマイシンの用量が少ないとピロリ菌の除去率が低下する報告がある。治療中は禁煙が必要。

参考文献

添付文書、IF、薬効別服薬指導マニュアル第9版(書籍)

リベルサス(セマグルチド)

【外部勉強会報告】

「GLP-1 Symposium for Pharmacists 2022」R4.11.6 10:00~12:00 オンライン

概要

・2型糖尿病に用いる経口GLP-1作動薬。食事療法を助ける経口製剤のイメージ。

・通常成人は1日1回3mgから開始し、4週間以上投与した後、1日1回7mgへ増量する。患者の状態に応じて適宜増減するが、1日1回7mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合は1日1回14mgへ増量できる。

・膵β細胞のGLP-1受容体に選択的に結合→ATPからcAMPの産生促進→グルコース依存的にインスリンを分泌させる。血糖が高い場合はグルカゴン分泌を抑制する。

空腹時投与

・1日のうちの最初に空腹の状態で水120mL以下とともに3/7/14mgを「1錠」服用する。空腹時の理由は、絶食時間が長いほど効果を発揮するため。

吸湿性が高い

・奇数日の処方は避け、偶数日で処方してもらうと良い。高吸湿性のため、切り取り線のない箇所(縦にカット)は控え、ミシン目でカットする。

・胃カメラを撮る場合、当日はリベルサス休薬も一つの方法。高吸湿性のため、食道に薬が張り付いていることがある。

・薬を水無しで服用すると食道でくっつくことがあるため、水120mL以下とともに服用し薬を胃へ流し込む。

経口投与が可能

・セマグルチドはペプチド骨格を基本とし分子量が大きいこと、胃の分解酵素によって分解されることから経口投与が難しかった。

・ペプチド骨格8位にアミノ酸修飾を施しDPP-4に対する安定性を向上。また26位にリンカーと脂肪酸の結合化学的修飾、34位に脂肪酸結合を阻止するよう設計され、セマグルチドの分解を遅延させる。半減期は約1週間まで延長される。

・吸収促進剤のSNAC(サルカプロザートナトリウム)が局所的にpHを上昇させ、タンパク質分解酵素からセマグルチドを保護する。いずれの規格にもSNACが1錠300mg含有されている。300mgが一番効果的のため、リベルサスは1回2錠で服用しない。

・以上の点から経口投与が可能となった。

セマグルチドの注射剤と経口製剤の比較

・リベルサスと同成分のオゼンピック皮下注は既に発売されている。

・リベルサス7mg≒オゼンピック0.5mg換算。

・注射の体内吸収率は高いが、経口投与は幅がある。投与経路も関係するが、被験者の服用方法にも要因がある。

・リベルサスは毎日内服、オゼンピック皮下注は週1回投与のため、どちらが良いか患者さんに選択してもらう。

体重減少を期待したリベルサスの臨床使用例

・体重減量を兼ねたいとき、食事療法の改善としてリベルサスを使用する。

・肥満と発がんには相関関係がある。体重減少と乳がん、結腸がんのリスクが減少することが明らかになっている。

・トルリシティ皮下注→リベルサス内服へ切り替え(1名)の例。7mg/日を服用後、体重減少が見られた。脂肪は減少するが、筋肉量はほぼ変わりない。食行動が良くなったとのこと。

リベルサス服用後の食事の変化

・食べたいけど箸が止まる、自然と満腹になる、食事量が減る、脂っこい物を食べる気がなくなると感じる患者さんが多い。

・日本肥満学会が作成した「食行動質問表」は自分の食行動をチェックすることができる。

同種薬との比較

・DPP-4阻害剤は食欲低下しない。脂肪は減少するが、筋肉量はほぼ変わりない。

・SGLT2阻害剤(ジャディアンス:エンパグリフロジン錠25mg)と比較すると体重減少はエンパグリフロジンの方が早く見られるが、52週目以降は変わりなし。ジャディアンスでは脂肪と筋肉量の減少が見られた。

服薬指導の注意点

・服用後30分以上は食事・飲水は控える。ただ「30分は間をあける」と伝えると、30分後に必ず食事を取ると思われる方がいらっしゃるので、「30分以上経過したら」と伝える。

・生活スタイルに応じて指導する。

例として「朝目覚めたら薬を飲んでもらう。前日夜にベッドの近くに水と薬を置いておく。服用後は再度寝ても良い。」と伝えてみるのも良い。

・服用タイミングが近いビスホスホネート製剤と併用の場合。まずは処方医師と相談しながら決める。

・セマグルチドのコンプライアンスが良好であれば血中濃度が一定のためビスホスホネート製剤を優先するのも一つ。

・セマグルチドで嘔気、胃の不快感が多い。ただし一概に副作用とは言い切れない。アドヒアランス、糖尿病性神経障害の症例、胃内に食物が残っていた、遺伝子多型の差も考えられる。

・2ヶ月間は食事療法を頑張ってもらう。DPP-4阻害剤→セマグルチドへ変更後、血糖値が上がることがある。つまりDPP-4阻害剤が効果あったと考えられる。8週目の血糖値を評価する。

・セマグルチドは胃の不快感の副作用が生じやすい。例えば7→3mgへ減量、3mgの服用間隔を設ける、ドンペリドンやメトクロプラミド頓服で服用するなどで対応。

・副作用が強い場合は医師に相談する。

遺伝子多型による治療方法の違い

・日米で主流の糖尿病治療薬が異なる。米国はメトホルミン、インスリン、SU剤が多いが、日本はDPP-4阻害薬が多い。

・原因として遺伝子が由来と考えられている。

・日本を含めアジア系はインスリン分泌能が低い傾向にあり、インスリン分泌促進作用のある薬が効果的。

糖尿病と偏見(スティグマ)

・「糖尿病」と聞くと意志が弱い、自己責任だ、性格を否定される、などのイメージを持つ人がいるがこれは偏見である。

・2型糖尿病の原因は50%が遺伝子的要因、50%は環境要因と言われている。また環境要因のうち70%は社会的要因である。

・糖尿病患者は、糖尿病に罹患していない人と変わらない寿命やQOLを治療目標とする。

・まずは私たちの先入観を捨てることが大切。

所感

・リベルサスの吸湿性により、PTPシートは奇数日の場合は問い合わせるよう頭に入れておこうと感じた。

・今回調べてみたところ、ネットでは痩せ薬として情報が氾濫していることがわかった。必要な患者さんに適切に服用してもらえるよう指導をしっかりしていきたい。

・糖尿病治療薬では血糖値の他に、胃の不快感や吐き気などもモニタリングのポイントだと分かった。

調剤薬局 薬剤師の新卒入社日記⑤

〜Stop and smell the roses〜

 気づくと入社後半年以上経過しました。学生気分が徐々に抜け、社会人生活に慣れてきたような気がします。服薬指導を始めた当初は患者さんへどう説明するかで頭がいっぱいでしたが、今は患者さんのお話を聞く余裕が持てるようになってきました。少しずつ慣れてきたのだと思います。今後もより患者さんの思いを汲み取れるように精進していきます。
最近は秋の花粉症を訴える患者さんがちらほらいらっしゃるようになりました。ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどが原因の一つと言われております。治療としては抗アレルギー薬の飲み薬、くしゃみや鼻詰まりが強い時は点鼻液、目が痒い時は点眼液を使用することがあります。
 薬の種類はたくさんあるのですが、今回は鼻へ直接噴霧して使用する「点鼻フルナーゼ点鼻液50μg28噴霧用/56噴霧用」について取り上げたいと思います。この点鼻液をプッシュすると香りを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?私はハンドクリームにありそうな香りを感じました。添付文書で調べてみると「特異なにおいがある点鼻液」と記載されています。「特異なにおい」の正体が気になるので含有成分を調べてみました。おそらくフェニルエチルアルコールが原因と考えられます。バラの香りに例えられ、香料として使用されます。ちなみに化粧品(洗顔料、スキンケア、ハンド・ボディーケア商品など)に含有されているようです。また香りを嗅ぐことでストレス軽減や抗不安作用があると言われています。
フェニルエチルアルコールは抗菌作用を有しており、防腐剤としても使用されます。フルナーゼ点鼻液ではこの目的で含有されていると思われます。
ちなみにグラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社から医療用と同成分含有された市販薬が発売されています。忙しくて病院に受診できない方はドラッグストア等での購入も一つの方法だと思います。
偶然なのか、英語圏にはこのような諺があるようです。”Stop and smell the roses.”直訳は「立ち止まってバラの香りを嗅ぐ」ですが、転じて「人生を楽しむ/ゆっくりする/リラックスする/羽根を伸ばす」の意味になるそうです。科学的根拠と昔からの言い伝えの一致は偶然なのか、面白いところです!

最後に、薬以外での花粉症の暴露を防ぐ方法をいくつかご紹介します。
・マスク。マスク(市販のマスクでOK)の内側にガーゼを当てると鼻に入る花粉が減少する。
・メガネ。
・花粉の着きにくい服装。ウールは花粉が付着しやすい。
・室内の換気・掃除
・手洗い・洗顔
・正常な免疫機能を保つために規則正しい生活をする、睡眠をとる。

※『花粉症環境保健 マニュアル 2022』(環境省)参照。
こちらに詳細が書かれていますのでご興味のある方はご参照ください。
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf