「ケアとまちづくり、ときどきアート」
著:西 智弘、守本陽一、藤岡聡子
医療者が地域に出ていくにはどんなことをやればいいか、その一歩を踏み出すためにどんなことを心がけたら良いか、つまずきやすいポイントの解説や、取り組みの事例などがまとまっています。
コロナがなければ、地域でもっと色んなイベントを主催したり参加したいな、と思っていたので残念ですが、まちの医療者として地域の人をそっと支える存在になれるようにと思って読みました。
印象的だったことを2点挙げます。
①ポジティヴ・ヘルス
オランダの家庭医が提唱した健康の概念
「社会的・身体的・感情的問題に直面した時に適応し、自ら管理する能力としての健康」
健康の捉え方を数値などで判断する状態から、自らの力で管理する能力へと考え方を変えていくこと。
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いくら病気を医療者が治そうとしても、その結果患者さんがその人らしく生きることができなければ、それは健康とは言えません。
患者さんが何を望んでいるか、それに対してどのようなことができるか、どんなことが障壁になっているのかを一緒に考え、主体的に取り組んでもらえるようなサポートをしていきたいと思いました。
②地域への入り方
企画、イベントには「行く系」、「呼ぶ系」、「在る系」の3種ある。
老人ホームでやる講演会は行く系、薬局での健康相談イベントは呼ぶ系、常に開かれていていつでも来てもらえるような環境にしているまちの保健室やオープンスペースなどが在る系。
行く系や呼ぶ系はコストやエネルギーを要するため、続きにくい。
在る系を実施するポイントは、人が集まる「ハブ」を押さえて、話しかけられても良いという「マインドセット」が作られやすいタイミングを狙うこと。
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そう行った意味では、対象が薬局に来る患者さんに限られはするが、調剤薬局は地域の人が集まる「ハブ」であり、薬を待つ以外に目的はない「話しかけられても良い」というマインドセットが揃った好条件であることがわかります。著者である西先生と先日オンラインイベントで話をさせていただいた時も、薬局は社会的処方に関わるリンクワーカーの働きができる良い場所なので頑張って欲しい、と嬉しいお言葉を頂戴しました。
元気が溢れるまちづくりを担っていければと思います。
なごみ薬局 薬剤師K