過活動膀胱の診断と治療について(2017.11.30)

 

過活動膀胱の診断と治療について(2017.11.30)
→東邦大学医療センター大橋病院 泌尿器科 教授

【過活動膀胱(OAB)】
・重篤な疾患によらない(≒原因不明の)機能的異常で症状に対するもの(確定診断でない)
・尿意切迫感を必須とし+頻尿又は夜間頻尿があるもので尿失禁は必須でない。
・過活動膀胱はOAB-SS(過活動膀胱症状スコア)の設問3の「尿意切迫感スコアが2点以上かつ合計3点以上」で診断できる。
・原因は加齢、膀胱容量減少、排尿筋過活動であり、医療従事者の勧めによる水分過剰摂取も原因になりうる。

【薬剤に関して】
<抗コリン薬>
・米国FDA 高齢者において疾患・病態によらず一般に避けることが望ましいと表明
http://www.bmj.com/content/332/7539/455>
→軽度認知症誘発?
・副作用:抗コリン作用(口腔乾燥、便秘など)
・M3受容体への親和性:オキシブチニン>トルテロジン>ソリフェナシン>プロピベリン
・抗コリン薬の累積投与量↑→認知症リスク↑(休薬による帳消しなし)
・7.3年で2.3%に認知症発生(データ根拠不明)

【ネオキシテープ(オキシブチニン)】
・肝初回通過効果↓、唾液量は経口薬よりプロファイルが良い
(口腔乾燥:オキシブチニン貼付剤(6.5%)、プロピベリン(13.2%)、プラセボ(1.8%))
・貼付部位による中止が5.4%あり、オキシブチニン中止例の38%に該当するが、CNS系の副作用は低い

「ネオキシテープ」の画像検索結果

【ベシケア(ソリフェナシン)】
・患者さんの求めに応じて増量(Flexible Dose)が可能、半減期が38hour

「ベシケア」の画像検索結果

【トビエース(フェソテロジン)】
・4mg→8mgへ増量可能。
・トルテロジンの活性代謝物。
・BBBを通過しない&高齢者に投与可能(65歳以上で臨床試験済)
・PhaseⅢ試験で虚弱高齢者での研究実施
(尿意切迫感≧6回/日 or 切迫尿失禁≧3回/日をinclusion、他剤は尿意切迫感1~2回/日)

「トビエース」の画像検索結果

<β3受容体作動薬>
・時代はこちらにシフトしつつある。
・レセプト情報データベースにて1年継続率が26%、他は16~21%(服薬遵守率が高い)

 

【ベタニス(ミラベグロン)】
・膀胱のβ3アドレナリン受容体に結合し、蓄尿期の膀胱平滑筋弛緩作用を増強させることにより膀胱容量を増大させ、OAB症状を改善する。
・n=1252の市販後調査にてOAB消失56%、SE:口渇0.26%、便秘1.67%と低い
・循環器系に対する安全性も確認
・75歳以上での安全性を12weekの市販後臨床研究にて確認
・Risk Benefitを考えると高齢者ではミラベグロン!

「ベタニス」の画像検索結果「ベタニス」の画像検索結果

【OTC化】
・プロピベリン(バップフォー®)10mgがOTC化の予定
(75歳未満の女性で1週間の投与10mgに限る)
→薬剤師は「尿がひどく出にくくないか」尿の勢いについて必ず確認が必要。

H29/10/27(木)第9回アイケアユーCafe 〜漢方薬でつながらナイト〜

H29/10/27(木)第9回アイケアユーCafe 〜漢方薬でつながらナイト〜を開催させていただきました。
漢方というと、薬剤師でもどんな世界なのか深く知らない方も多く、緊張しながらのスタートでしたが、ゲストの小岩井 慎哉 (Shinya Koiwai)さんの準備され尽くしたわかりやすい説明で理解し、漢方薬局へ行きたい!と思った方も多かったのではないでしょうか。今回は、初参加の方が多かったのですが、はっきりいって、参加者全員と仲良くなれる自信があります。それくらい個性的で愉快な方がお集まりになり、最後はお祭り騒ぎでした・・

 

 

https://www.facebook.com/pg/icareyou.jp/photos/?tab=album&album_id=493676874335437

まとめ。
小岩井さんの、最近思うこと・・患者さんは薬を飲みたいのだろうか?
そうではなく、患者さんは病を気にせず健康に過ごしたいのではないだろうか?
そんな問いかけから、保険外の漢方薬局の秘密?を的を絞ってご説明頂きました。
・煎じ薬を専門に扱う。
・効果実感に主点。長く飲まないと効かないは間違い
・明確な料金設定
・訪問相談
3大アレルギー性疾患について
・アレルギー性鼻炎
・アトピー性皮膚炎
・気管支喘息(小児喘息)
「共通の原因は痰飲」痰飲・・体に溜まって古くなったお水
解決方法は運動して汗をかくこと。
高齢者の廃用にも漢方の考え方を通して動機づけることで、西洋医学では治癒が難しいところを解決できる可能性をとても感じました。養生という考え方は、自立を支援していく上で、日本人に合ったやり方かもしれません。日本人用に作られた和漢方が儒教ベースで生きている日本人に合わないわけがない・・。正しく生きる。自分を高める。食と健康。健康を支える薬剤師としてもケアマネジャーとしても、たくさんの考える機会になりました。

そして、某メーカーの添付文書に書かれている適用、風邪のひきはじめ、が実はあまり効果がなかったり、、エキス顆粒と煎じ薬では効き目が違う、食後でも効果同じなど。
ミニパネルディスカッションでは、保険外の漢方薬局を持続させる成功要因は?という意地悪な質問に、きっぱり「他に手を出さないこと」と言い切った小岩井さんのカッコよさは半端なかったです。選択と集中です。漢方薬局の未来は?と伺うと、中国産の原価が上がっていて厳しいが、自分と同じ世代がちょこちょこ開店もしており、需要があり無くなることはないと思うとのこと。
認知症・頻尿1日100回で薬でもお手上げだったが、八味地黄丸で改善したケースや、小児に便秘陰陽が未熟のケース、更年期障害、温経湯のケース。をご紹介いただきました。

そしてバルーンシャンデリアの下でダイアローグ。
いきなりLife is Art !!と言い出す薬剤師、台湾の薬科大で働いていた方、中国に住まわれていた方、ネパールで公衆衛生をされていたZさん。ヘルスケアマガジン企画開発ですが過去に未来科学館な方。カフェを開きたい薬剤師、西荻で介護食のイベントをされている管理栄養士、ライフプランナー、公認会計士ですが実はアトピーSNSベンチャー経営者、ガンサバイバー、食育コンサルタント(MBAホルダー)、在宅医療クリニック事務長&医療情報技師&空き家・空きスペース活用イベント企画な方、グローバル・マーケティング・リサーチ会社のオペレーティングマネジャー、という個性的なメンバーで「わたしは、自らの健康とどう向き合っているか?」という問を通して、対話いたしました。
・トレーニングウエアを来て寝る。そのまま朝起きて走り出すようにしている。
・ATM(明るく楽しく前向きに)な人を探す。
・ネパールは肩こらない。そもそもそんな健康の概念がないから。
・自分のリミッターを知る。
・自分も相手も許してあげられる心構え
・健康のルール化して仕組み化(習慣化)する。
・睡眠Iotバンドでレムとノンレムを測定
・薬で心身をある程度コントロールできるが、社会参加は意識して行動している。
などなど面白い意見が他にも沢山でていました。
台湾では西洋医学と東洋医学が選べる。中国の漢方と日本の漢方の違い。
薬がなくても、体質が変わる理由がわかり、漢方や養生への興味がわきました。
保険外の漢方薬にご高齢者をつなげることができれば、残存機能を引き出す考え方と大変近いこと、日本人らしい生活スタイルに落とし込みやすいこと、何より美味しく楽しくつながるきっかけにもいいなと思いました。
認知症Cafeとかでも漢方バーを開いたりすると、きっと医療費も減るし認知機能や頻尿も改善される可能性も感じます。特に、エビデンスを積み上げにくい予防医学的な領域でもあるからこそ、そのブラックボックスのまま機械学習で解析することに向いていると思います。(インプットするデータに主観的なバイアスがかかるからそこさえ定量化できれば・・)
僕からは、お土産で、儒教の大切にしているもの、武士道で大切にしているものを知ることで漢方がメインだった江戸時代の思想に触れ、和漢方&養生とのツナガリ、哲学的な日本人が大事にしていることに改めて触れることでじいちゃんばあちゃんの気持ちを汲み取れるようになれると思いご紹介させていただきました。

一歩踏み出すことで、保険外の漢方薬局を5年も経営されてきた小岩井さんに実際にお会いすることで、大変なパワーをいただいたような気がします。心より感謝申し上げます。
また、お忙しい中ご参加いただいた皆様のお陰で、Life is Artで素敵な漢方ナイトになりました。本当にありがとうございました。

第8回アイケアユーCafe 介護旅行でつながらナイト!

本日は第8回アイケアユーCafeを開催させていただきました。

まずは、参加者アイケアユー介護福祉士 酒井さんの素晴らしい振返り。

「出来ない、ではなく自分が相手のためにやりたいかどうか」

2017/9/19
アイケアユーカフェに参加しました。
今回のゲストは日本旅行介護士協会の加藤信一さんです。

加藤さんの話しを何回か聞いていて、その度に思うのはこの旅行介護サービスは本人や家族も介護士も救われるサービスだと思います。

介護を仕事にする人は大抵は「目の前の人に喜んでもらいたい」という気持ちからこの業界に入って来たはず。

けれども施設の環境(極度に安全を求める職員・管理者層)、介護保険制度(例えばデイサービスだと6時間とか施設内に居ないとお金が貰えません。)に縛られてその人のニーズを掬えない環境があります。

外出サービスは仕事の時間外でボランティアでやるのは違う、正当な報酬は頂くべき仕事だと私は思います。
他の仕事と同じように、相手のニーズを満たしているのだから。

このサービスを利用する事で、今まで介護が必要だから、と何処にも行けない祖父母の前で旅行の話しが出来なかった家族がお互いの旅先の話しをするようになったり、気持ちにハリが出て健康を取り戻す人が大勢います。
それは6年の活動の中で1500人がこのサービスを利用した結果からもわかります。

「旅行に行きたい人がいるのになんでやらないの?それが悔しかった。」と言う加藤さんの言葉が印象的でした。

挑戦せずに諦めて「あんなの出来っこない」と評論家になる人が多い中、加藤さんは続けました。
「誰もやった事が無いという名のトンネル」に入り、トンネルを掘り続ければ路が開けると信じて。

 〜渡邊 介護旅行を振り返らナイト!〜

スペシャルゲストに加藤信一さんをお迎えして、介護旅行の実態についてお話いただき、加藤信一さんという「人」そのものを掘り下げようと質問を重ねてみました。
高校が一緒で、保険外の外出支援を志し、悔しい想いをバネに今まで続けてこられた。
約1500名もの笑顔がこのビジネスの存在意義を立証していました。

ぷちパネルで、思わず、なんでこんなことをやっているのですか?保険外なんて無理だ、儲からない、安定しない、続けられない、だから誰もやってないのに、、。
なぜ、全てを捨ててまで、そこまで他人に貢献できるのか。
(初めて、打合せした時も、思わず聞いてしまいました)
「笑顔がみたいから。元気にしたいから。」一度やったら辞められない。安全性に配慮しつつ専門性の高いハイクオリティサービス。一つ一つ丁寧に依頼者からの感謝を拾っていく、だから続けてこられた。利用者の想いに応えられなくて、悔しい思いをもう二度としたくないから。だからやっている。だから一歩踏み出した。これを広げていかないと世の中が良くならないんだ。
今日のたった2時間では、参加者の誰もが帰ろうとせず、薬店は複雑性マックスのカオス状態となっていました。


加藤さんを一言でいうと、南アフリカの元大統領・ネルソン・マンデラそのものだ、彼の本からある言葉を参加者にシェアしました。「ウブントゥ」です。私たちは、他者を通してのみ存在できる。という、アフリカにある概念です。他の人々のお陰で、今日のワークショップもすごいものになったし、みんなのお陰で日本は少しずつ変革(維新)していく。
信念の下、過激なまでに不屈の精神で他者に貢献し続け、ついにはアパルトヘイトを撤廃するあの感覚を、純粋に誠実な人柄である加藤さんを中心に感じたはずです。

参加者の中には、訪問看護師に新卒で踏み出そうとする方、介護タクシーの方、ぶらタモリさせたい作業療法士、車椅子になっても介護に関わる素敵な方、介護旅行をさせたいご家族、訪問薬局、脳内旅行をさせる臨床美術士、初参加の方にもアイケアユーの「一歩踏み出す」こと、インスピレーションが湧く場所として認識していただけたら嬉しいです。どうせ死ぬなら、死ぬほど学び、行動、仲間、そして、立志しよう。

最後に、「失敗」とは、人生の最後に後悔すること。スタンフォードのデザインスクール、ティナ・シーリングの言葉。最期に後悔しないよう旅行介護を通して、QOLを劇的に改善させる今日のお話ではありましたが、自分達こそも時間の有限性を意識して、失敗のない人生を、一日一生、日に新たに積み重ねていくことをコミットさせていただきます。
職種や資格にとらわれるな、他人の課題を背負うな。自分達は、やりたいことをやって、地域のために、人を大事にすることで稼ぐ。どーせ無理だと言うあんたは、最後までやったことがあるのか?足の引っ張り合いは、もういい加減やめよう。情報を横に流すのではなく、価値を生み出す組織、人になろう。
今日感じたのは、必ず、アイケアユーから、日本の未来を変える人材が生まれるはずだ、ということです。
貴重なお時間を割いて頂き、ご参加いただきました加藤さん皆様と対話を通して「魂が震えるような体験」をさせていただいたことに、心より感謝申し上げます。有難うございました!らぶちゃんのグラレコおみやげ感謝です!

イクスタンジ(エンザルタミド)カプセルについて勉強会しました。

【上高田勉強会共有】
2014年5月に販売開始された去勢抵抗性前立腺癌に対するイクスタンジ(エンザルタミド)カプセルについて、上高田店にて取り扱いがあり、勉強会開催がありましたので内容共有いたします。

■イクスタンジカプセル40mg
アンドロゲン受容体のシグナル伝達阻害作用を有する新規抗アンドロゲン剤

【適応:去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)】
→ホルモン療法が効かなくなっている状態
→イクスタンジ導入時期
→アンドロゲン除去療法(以下、ADT)施行後PSAが最低値(nadir)から25%以上かつ上昇幅として2ng/mL以上で患者への説明を開始

【イクスタンジの特徴(一般)】
・1日4カプセル(160mg/日)の服用が必要(何カプセル剤で長径21mmと大きい)
(→現在、錠剤への製剤化を試みている段階とのこと)
・発現頻度の高い副作用は疲労・倦怠感、悪心、食欲減退
(→化学療法と異なり、生化学的用量制限毒性が少ない)
・国際共同第Ⅲ相試験(PREVAIL試験)においてプラセボ群と比較し、OSを有意に延長し、死亡のリスクを29%低下させた(Kaplan-Meier法)
・PREVAIL試験においてプラセボ群に比べPSFを有意に延長し、画像診断上の病勢進行および死亡のリスクを81%低下した。
・1カプセル 2354.10円であり、一カ月当たり28万円ほどの費用がかかる
(→高額療養費適応)。
・ワーファリンとの相互作用があるため、抗血栓薬を使用する場合は腎排泄型のプラザキサ等への変更が必要

【イクスタンジの特徴(他剤比較)】
・食事の影響を受けない
・ステロイド併用の必要がなく、ステロイドによる副作用に制限されることがない
(→糖尿病を合併した患者さんにも使用可、骨粗しょう症の副作用がない)
・治療選択としてビカルタミドの代替となりえるポディショニング
(→OS延長のデータが他剤になく単純比較はできない)

【薬剤師としてできること】
・有用性の確認された用量での服用を継続できるよう、副作用の説明・管理
(CTCAE Grade2を呈する疲労、倦怠感、悪心・嘔吐、食欲不振発現時の治療コンサルタント)
・イクスタンジ治療抵抗性になった場合の次の治療の選択肢の共有

【感想】
・ホルモン依存性の癌種にはホルモン療法が著効し、化学療法で見られる血液毒性の頻度が低いことが特徴であることが分かった。特にイクスタンジの用量制限毒性は患者の主観的な事象も多く、薬剤師も治療継続に大いに寄与できると感じた。
・同種同効薬のある新薬は、承認取得のためには既存薬に勝るポイント(有効性、副作用の発現率低下、低コスト)が必要となる。イクスタンジは実臨床での使用成績を蓄積の上で更なるエビデンスが構築されると考えられる。
・地域の薬剤師は前立腺がんの1つのマーカーであるPSAのスクリーニングを早期に実施するよう健康な方への予防啓発で前立腺がんの早期発見、予防に寄与できる立場であると感じた。