なごみ薬局薬剤師Aさんが新薬ラピフォートワイプの勉強会に参加、内容をシェアしてくれました😊
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【外部勉強会報告】
「ラピフォートワイプ承認記念講演会」R4/5/22 10:00~12:15オンライン
※R4/5/23発売開始
●発汗のメカニズム
・体温上昇を感じると、視床下部の体温調節中枢を介して全身が発汗する。
・緊張すると、精神性発汗中枢から体温調節中枢に働きかけ、手掌や足底が発汗する。
・純粋に精神性発汗中枢から発汗量も増える。
●汗腺
・皮膚に分布。
・エクリン腺(水っぽい)とアポクリン腺(脂質やたんぱく質)がある。
・体温が上昇すると、視床下部の体温調節中枢が感知し、交感神経を介してエクリン腺が刺激される。アセチルコリンがムスカリン受容体を感知し発汗する。
・全身に分布するエクリン腺は36〜37℃を感知すると発汗する(閾値がある)。
・汗腺の密度は前額部、手掌、足底部が高い。発汗能は低いが、閾値がなく低温でも発汗する。
●原発性多汗症
・36℃付近の温度を感じると発汗するが、この閾値が低くなると常に発汗した状態になる=多汗症。
・睡眠時は発汗しないが、昼間は発汗する。
・発汗は左右対称に見られる。
・発汗量は女性より男性のほうが多いが、受診率は20〜30代女性が多い。
・主訴:「手汗で登り棒や鉄棒が滑って持てない」「試験用紙が汗で濡れてしまう」「自分から汗の匂いが出ているのではないかと不安になる」など。
小児においては、対人関係に不利益を生じたり、消極的な性格になったりするなどの影響を及ぼす可能性がある。
・重症度:自覚症状を4段階に分類し判定(HDSS1~4)。
・治療法:
内服→院内製剤の塩化アルミニウム、プロパンテリン(プロバンサイン)
外用→ソプピロンコーワゲル(エクロックゲル)
その他→イオントフォレーシス、A型ボツリヌス毒素局所注射。
・その場しのぎではあるが、市販の制汗剤を勧めることもある。
●ラピフォートワイプの概要
・一般名:グリコピロニウムトシル酸塩水和物
・効能効果:原発性腋窩多汗症(※手足底での適応はないため、部位に注意)
・用法用量:1日1回、1包に封入されている不織布1枚を用いて薬液を 両腋窩に塗布する。
・禁忌:閉塞性隅角緑内障、前立腺肥大による排尿障害
・使い方とポイント:
☆使用直前に開封し、左右の腋窩に1回ずつ塗布する。
☆塗布部位は20〜30秒で乾き、すぐ洋服を着ることができる。
☆入浴後に塗布がおすすめとのこと。
☆8〜10時間後に効果発現する。
☆使用後は手を洗う。
☆熱中症症状が出た場合は使用中止を検討する。
☆傷口には塗布しない。
・作用機序:汗腺細胞のムスカリン受容体に競合し、アセチルコリンの作用を阻害する。
・第3相試験の結果:
使用後1週目からHDSS2以下(発汗は我慢できるが日常生活に時々支障をきたす)自覚症状の改善あり。
使用後2週目〜52週目 で発汗量抑制あり。
●感想
・珍しい剤形で老若男女使いやすそうであった。今後ラピフォートの処方が来たら指導で活かしたい