なごみ薬局におけるプレアボイド事例報告および分析

薬剤師 M.I

(1)プレアボイド制度の概要

日本病院薬剤師会(以下、日病薬)では、医療現場の薬剤師が薬物治療において患者に対する不利益の回避および副作用発現を最小限にとどめるために行った事例報告を「プレアボイド(PREvent and AVOID the adverse drug reactions )」という呼称で収集している.

(2)プレアボイド報告の種類

□副作用回避報告:すでに副作用が発現している可能性が高く、それを薬剤師が発見し悪化を防いだ

□未然回避報告:副作用は起こっていないが、副作用が起こる可能性がある場合に介入した

□薬物治療効果の向上:薬剤師の処方提案により治療効果が向上した

疑義照会≠プレアボイド

日病薬によると、処方薬情報のみから発生した疑義照会は薬剤師の責務と判断し、プレアボイドには含まれない。

(3)プレアボイド報告目的

✓地域支援体制加算の施設基準の要件としてプレアボイド事例の報告が義務.

✓事例の収集・分析・情報共有により薬剤師としての資質向上.

・医薬品の有効性および安全性の最大化

・薬学を学んだ者が持つ独自の専門性(製剤学・薬理学・物理化学)を発揮し,治療効果を増大に貢献

・薬剤師の存在意義を示す材料

(4)プレアボイド事例

2017年―2019年2月時点において,なごみ薬局におけるプレボイド報告は48件であった.

発見の発端は,処方歴33%,お薬手帳25%および患者の会話25%であった.

(fig.1)

具体的な報告内容に関してはtable1に示した.

集計により,薬物治療における患者に対する不利益の回避において,改めてお薬手帳情報の重要性が示されたと思われる.また,発見発端ツールとして患者との会話が有用であることから,我々は,患者が薬物治療に関して”困っている事・感じている事・少しでも気になる事”を主張しやすい関係性を創り出すことが重要だと思われる.

ただ現在,収集した事例数が少ないため,何かを結論付けることは難しい.

今後も事例の収集・情報共有を引き続き継続し,質の高い薬物治療の提供に貢献していくよう努力したい.

Table1 プレアボイド事例の概要

変更点(変更前→変更後) 状況
自己判断で服用していたアボルブ →中止指示 54才女性.頻尿時,夫の処方薬を自己判断で服用.本剤は女性に対し禁忌である旨を説明し,服用中止を理解させた.
芍薬甘草湯 →大建中湯処方追加 芍薬甘草湯処方削除 定期処方薬は芍薬甘草湯および大建中湯だったが,患者とのやり取りから、芍薬甘草湯は残薬があるため不要・今回は大建中湯が欲しかったとのことだった.
VPAシロップ4mL 朝夕食前 →朝夕食後 入院中の本薬の用法は、食前であったが退院後の往診医による 処方では、本剤が食後の指示であった※1).
アムロジピン錠2.5 mg 朝食後 →夕食後 本剤は夕食後で継続的に処方されていた.今回、患者はDO処方だと医師から説明を受けていた. 問い合わせの結果、用法が夕食後へと戻った.
フェキソフェナジン60 mg 2T/朝夕食後 →処方削除 お薬手帳上、他院皮膚科よりアレグラ60 mgが84日分処方されていた.問い合わせの結果、本処方薬は削除.長期処方のためお薬手帳をかなり遡る必要があった.
リンデロン点眼・点耳・点鼻液(左眼) →(左耳) 投薬時に外耳炎であり耳垂れがあると聴取.Dr問い合わせの結果、左耳への点耳へと用法が変更となった
フェブリク10mg 1T/1. (金・日・火曜日服用)18日分 →28日分 他定期薬剤は64日分で処方.患者より残薬はないとのこと. Dr問い合わせの結果,28日分へと変更になった※2).
ツムラ葛根湯エキス顆粒7.5 g →クラシエ葛根湯エキス錠18T/day 服薬指導時に,粉薬の服用が苦手で飲みたくないとの発言を聴取.Drに患者の希望および本処方量に相当する他メーカーの錠剤数に関して情報提供を行い,処方が変更となった.
トラネキサム酸錠500mg 2T/2X →トラネキサム酸錠500mg1T/2X 透析患者のため減量が必要だった※3).
ゾフルーザ20 mg 2T/1. →ゾフルーザ20 mg 4T/1. 投薬時,体重が80kgを超えていることが明らかとなり,Dr問い合わせの結果,本剤が増量となった.
ホスレノールOD錠500mg 3T/1X →500 mg 3T/3X  本剤1500mg/回は用量として問題ではないが,分3で継続している処方薬であったため問い合わせ.
リスペリドン錠2mg分4(4-4-4-3) →リスペリドン錠2mg分3(4-4-4) 前々回の処方はリスペリドン錠2mg6T/3.の用法用量であったが,前回はリスペリドン錠3mg 4T/4.の用法用量だった. 患者は前々回の飲み方を希望したが,Drは就寝前の処方を消し忘れた.リスペリドンの1日最大量12mgを超えていることに気づき問い合わせ.
メキタジン小児用細粒0.6%0.35 g/2. →処方削除 お薬手帳より他局からセチリジンが交付されていたことに気が付いた(皮膚疾患により長期服用中).両剤は第二世代H1受容体拮抗薬のため問い合わせ.
フスコデ配合錠9T →デキストロメトルファン15mg 6T/3. お薬手帳上,他局からザルティア錠(タダラフィル)が交付されていることに気がついた. フスコデは前立腺肥大等下部尿路に閉鎖性疾患のある患者に禁であるため,問い合わせ.薬剤変更となった.

《4月度(3/21〜4/20)分プレアボイド報告》

《4月度(3/21〜4/20)分プレアボイド報告》
●本店より4件●
①アルロイドG初回の方に、60mL/3×毎食後で処方。
通常空腹時服用薬であるため、食後でよい旨医師から話がなかったことを事前に患者へ確認後、問い合わせ。
→毎食前に変更となった。


●本剤は胃酸に対する防御因子増強薬で、胃や食道の粘膜に付着することで効果が得られます。
空腹時に粘膜にバリアーをはっておくものです。
付着するために、あのような粘稠度の高い薬剤となっており、服用後の飲食で洗い流されてしまうため食間や眠前が理想的で、食前の場合も食直前にならないよう注意したい薬剤。
ちなみに、吸収されて血中や母乳中に入るわけではないため、授乳婦も安心して服用できます。

②在宅患者の家族より、唾液が真っ黒で、かつ食べこぼし等と一緒にこぼれて服やタオルが汚れてしまうと訴えがあった。
カルコーパと酸化マグネシウムによる変色と考え、医師に問い合わせ。
→酸化マグネシウムは削除となった。

●(カルコーパの成分である)レボトパ及びその代謝物は酸化されやすく、アルカリや光に不安定です。
尿や汗など体液が黒変する現象はレボドパあるいはその代謝物が諸条件下で変化を受けて黒いメラニン重合体を生成し、それが排泄されるためと考えられます。
本剤と酸化マグネシウムとの配合は、湿潤や着色のため不適となっています。

③4歳児に カルボシステインDS50% 1.8g、アスベリン散10% 0.5g/3×毎食後 処方。
母親へ体重を確認したところ、15kgとのこと。
それぞれ適量は0.9g(30mg/kg/日)、0.3g
(2mg/kg/日)にて、特にカルボシステインは倍量処方されていたことから、問い合わせ。
→それぞれ1g、0.4gに変更となった。

④前回の継続処方と思われたが、いくつか処方がぬけていた。
お薬手帳の前回処方シール中 薬剤名左横に鉛筆で◯がついており、◯の付いたものが今回処方なしとなっているようだったが、◯の付いていないヒルドイドローションも今回処方なし。
本人へ前回との変更点を確認した際、やはり◯の付いたものは「今回処方不要」と本人が医師に提示したとのことだったが、ヒルドイドローションは◯を付けていない薬剤であり、50g×3本欲しいとのこと。
→医師へ報告・問い合わせし、50g×3本処方追加となった。

●西荻店より1件●
①2つの医療機関からの処方箋を持参された患者で、今年になり花粉症の症状が出た方。
かかりつけのメンタル系クリニックより、前回いつもの内容に追加してロラタジンOD10mg 1T/1×夕食後が処方されていたが、今回メンタル系を別のクリニックに変えてみた、かつ前回の抗アレルギー薬は効果がなかったとのことで、変更先のクリニックより メンタル系の薬剤と共にオロパタジン5mg 2T/2×朝夕食後 14日分処方。
(その処方分の薬剤をまだ受け取っていなかったこともあってか)その後も症状が気になり、2日後に別の医療機関を受診され、デザレックス5mg 1T/1×眠前 30日分とアラミスト点鼻が処方されていた。
その際本人は 2日前に別の医療機関でオロパタジンを処方されたことを医師に伝えていなかった様子。
→抗ヒスタミン薬の内服2剤併用は基本しないことから、本人へ確認し、1日1回かつ眠気の少ないタイプを希望されたため、オロパタジン処方医へ今回の件を報告・問い合わせ。
→オロパタジンは削除となった。

《11月度分プレアボイド報告》

●本店より5件●
①ビラノア錠20mg初回処方の方、1T/1×夕食後の指示だったため問い合わせ。
→夕食1時間前に変更となった。
●本剤は食事の影響で吸収が悪くなり、効果が半減するため、添付文書上「1日1回空腹時」となっています。
一般的には「食事のおよそ1時間前、または食後2時間以上後」のようです。
同じ時期(H28年11月頃)に薬価収載された類似薬にデザレックスがありますが、こちらは服用時間がいつでもよいタイプです。

②FAXで処方箋を受けて、後日配達している方の定期処方箋中に、久しぶりにムコダインDSが追加されていた(春先まではわりと定期的に出ていた)ため、急ぎで配達が必要か、あるいはストック分か、確認のためご家族へ連絡。
いつも追加があれば医師が家族に声かけして下さるようだが、今回はいつもと違う医師であり、特別声かけはなかったこと、特に該当する症状はないことから、不要なのではないかとのことで、家族より問い合わせ希望あり。→問い合わせし、ムコダインDSは削除となった。

③いつもウルソ100mg 6T,ユベラN100mg 6C/3×だった方が、今回6T,6 Cのまま/2×に用法変更となっていた。
ウルソは適応により900mg/日まで可、ユベラNも適宜増減の記載があるため、それぞれ300mg/回となることはありえることから、1日量はかえずに用法のみ3→2回/日にかえた可能性あり。
ただ、単純に昼だけなくして、4T,4C/2×にするつもりだった可能性も考えられたため、患者へ声かけしたところ、自分は後者だと思っていた、先生が間違えたのではないか、とのこと。→問い合わせし、4T,4C/2×に変更となった。

④目と手先が不自由なため、処方がない日でも 以前当局でお渡しした点眼薬を持参して、溶解や開封を依頼される方(カタリンK、ベストロン、溶解はないが開封のみでクラビット1.5%も)。
来局日にどの薬剤を開封希望なのか、基本的にはご自身で把握されており、今回カタリンKは溶解希望がなかったが、薬歴記載上+持参された本体の開封日記載から、カタリンKも新規溶解日と思われたこと(かつ手元の在庫ないため、今回の処方分からの溶解が必要)、他の点眼液処方本数からすると再診日が1ヶ月先と予想されたがカタリンK(溶解後3週間が期限)は1本しか処方がなかったことから、本人へ確認。
再診は4週間後で、医師が2本処方しておくと言った際、本人は本日カタリンは溶解日ではないと思っていたことから、1本でよいと断ってしまったとのこと。
→医師に報告し、2本に変更となった。
●持参の在庫を見れば分かりますが、溶解時に残数含めPC上に記録を残していたことで本人への確認に至りました。

⑤施設のカンファレンス時に、今回の定期からアローゼンを外すと話が出ていた方。
後日処方箋が届いた際、酸化マグネシウムもなしになっていたため、カンファレンス後にそのようなやりとりが生じたのかどうか、施設スタッフへ確認。
→特になかった、現在便がゆるいわけではないとの返答にて、医師へ問い合わせし、酸化マグネシウムは継続の指示となった。

●西荻店より2件●
①ラベプラゾール10mg 3T/1×眠前 との処方がきたため、問い合わせ。
→1Tに変更となった。
●ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助で20mg/2×、PPIによる治療で効果不十分な場合の逆流性食道炎に20or40mg/2×で使われることもありますが、通常5or10or20mg/1×の薬剤です。
上記照らし合わせでは30mg/日は用量的には可能な範囲内ですが、分1では20mgまでとなるため問い合わせに至りました。

②抗生剤の処方がない方に、ビオフェルミンR錠が処方されたため、問い合わせ。
→ビオフェルミン錠に変更となった。
●ちなみに、抗生剤が処方されていたとしても、その種類によってはR錠が適応外になる場合もあります。

《9月度分プレアボイド報告》

《9月度分プレアボイド報告》
本店より2件
①クラビット500mg 2T/1×の処方箋を受けたため、問い合わせ。
→1T/1×に減量となった。
●添付文書上「500mg/1×、適宜減量」となっており、基本500mg上限となります。
むしろ腎機能に応じて減量が必要であり、高齢者では腎機能低下を考慮して「初日のみ500mg、翌日以降250mg/1×」あるいは「初日のみ500mg、3日目以降2日に1回250mg」とすることもあります。
また、以前世の中に100mg錠が存在した頃は3T/3×で使われていましたが、その後PK-PD理論に基づき1日1回大量投与となった薬剤です。
添付文書上にも「分割投与は避け、必ず1日量を1回で投与」と記載されています。

②エディロールも含めいつもの継続処方を投薬した際、本人より「別病院でフォルテオ開始となったので、エディロールは中止すると先生が話していた」との申し出あり。
→問い合わせたところ、エディロール中止となった。
●フォルテオと活性型VD製剤は併用注意(相加効果による血清Ca値上昇に注意)であり、禁忌ではないため、併用しているケースもあるかと思います。
今回は本人が申し出て下さったことで問い合わせに至ったようです。

《8月度分プレアボイド報告》

●西荻店より3件
①ピーエイ配合錠が処方された方のお薬手帳を確認したところ、トラバタンズ点眼液を使用中であることが判明。
ピーエイ配合錠は緑内障のタイプに関わらず禁忌であるため、患者の希望もあり 処方医へ問い合わせ。
→ピーエイは処方削除となった。

②継続処方中何点か変更があり、そのうちの1つとして リリカ75mg 1C/1×朝食後 の処方がなかったため、患者へ確認。
医師は50mgに減量すると言っていた、との返答。
また、お薬説明中に「ナトリックスは冬しか飲んでいない。実際 夏に飲んでみたら血圧が下がってしまった。家にいっぱい残っている。」とのこと。
→処方医へ確認し、リリカ25mg 2C/1×朝食後 追加、ナトリックスは削除となった。

③継続処方中何点か変更があった方。
いつもは14日分、前回は21日分だったが、今回は14日分であり、変更があったことで 状態確認のため早めの再診になったものと思い、投薬説明時に「次回は2週間後なんですね」とお話ししたところ、再診予約は2週間後ではなく、約3週間後であることが判明。
→当初「しかたがないので予定より早めに一旦予約を取り直します」とおっしゃっていたが、2週間毎の受診がきついため、前回から3週間おきになったとの発言もあったため、処方日数変更について提案。
本人も希望されたため、処方医へ問い合わせし、19日分(再診日朝分までぴったり)に変更となった。

●本店より4件
①アドエア500ディスカス 1日2回 1回2吸入 で処方。
本剤は通常1回1吸入であり、添付文書上 適宜増減の記載もないため、処方医へ問い合わせ。
→入力ミスだったそうで、1回1吸入に変更となった。

②施設担当医よりトーワチーム処方。
他医療機関より処方のハルナールDを長期継続中であり、下部尿路閉塞のある患者はトーワチームの禁忌に該当する。
過去の日経DIより「必要があれば、ハルナール服用中の患者にPL配合顆粒(トーワチームは本剤の後発品)が処方される場合もある」との情報があったが、禁忌に該当することから疑義照会は必要であり、処方医へ問い合わせ。
→感冒症状は軽度とのことで、トーワチームは削除となった。(同時に処方されていた抗生剤と解熱鎮痛薬はそのまま調剤)
●まずはハルナール処方医へ閉塞状況(トーワチーム服用可能かどうか)を確認しようとしたところ、時間外にて連絡がつかず、それも含めて施設担当医へ報告したところ、翌日再トライ(ハルナール処方医への確認)は不要との指示を受けました。

③レボフロキサシン細粒 1日1回 昼食後で処方。
元々定期は朝・昼食後のみにまとまっている方(粉砕対応レベルの嚥下能の方であり、比較的覚醒のよい時間帯に服用薬をまとめ、1日の後半には服薬なし)。
定期で昼に鉄剤を服用中であり、同時服用ではキレート形成により両剤共吸収低下が懸念されたため、処方医へ報告・レボフロキサシン朝食後での服用を提案。
→レボフロキサシンは朝食後に変更となった。

④オルメテック、ザイロリック、リルマザホンを1日1回 朝食後で処方。
他県から転居されてきてから初めての受診だった方。
お薬手帳上、転居前の処方は夕食後だったため、服用時点の変更について医師から何か話があったかどうか本人へ確認したところ、「特になかった。夕の方が慣れていて飲み忘れがなくてすむのだけど。自分の場合 血圧の薬は夕の方があっていると 以前の先生が言っていた。」とのことで、処方医へ報告・確認。
→以前までと同じ服用法で とのことで、夕食後に変更となった。

※緑内障禁忌の件やアドエア500の件はこれまでに何度かあがっているため、遭遇し易いパターンかと思われます。
アドエア500が新規処方された時、緑内障患者に眼科以外から新規薬剤が処方された時は、特に注意して対応したいですね。

《7月度分プレアボイド報告》

本店より5件
①タケルダ 1T/1×朝食後 服用中の方にネキシウム20mg 1C/1×夕食後 新規処方。
タケルダはアスピリン100mg+ランソプラゾール15mgで 既にPPIが入っているため、処方医へ問い合わせ。
→タケルダはバイアスピリンに変更となった。(また その際ネキシウムはタケキャブ20mgに変更指示あり。当日はタケルダ服用済みにて、バイアスピリンとタケキャブは翌日から開始するよう患者様へ説明。)
●合剤は配合成分に注意が必要で、類似薬重複の他、同成分重複による上限量超え(例えば ユニシアとアムロジピン単剤、メタクトとメトホルミン単剤 等)にも気をつけなければなりませんね。

②いつもの腎代謝科定期処方に臨時処方PL配合顆粒が追加されていた。
緑内障治療のため眼科通院中の方であり、処方医へ確認。
→受け取り来局されていたご家族曰く、症状はあまり強くないとのことだったため その旨医師へお伝えしたところ、薬剤変更ではなく処方削除となった。
●以前 眼科で初めてダイアモックス錠が処方された際、通常量ではあったが、腎代謝科を定期通院中だったことから問い合わせとなり、減量となった方です。

③6歳児に カロナール50%細粒 1回1g(成分量として500mg)/疼痛時 処方。
体重21kgとのことで、小児では通常10〜15mg/回(20kgで200〜300mg)であることを考慮すると、添付文書上 適宜増減の言葉はあるものの、20%細粒の可能性が考えられたため 問い合わせ。
→20%細粒に変更となった(指示量は1gで変わらず→成分量は200mg)。

④前回手持ちの3種(ミカルディス80mg 1T/1×朝食後、メトホルミン250mg 2T/2×朝夕食後、グリメピリド1mg 2T/1×朝食後)も一緒に分包した方。
今回手持ちはなく、処方箋中にミカルディスとメトホルミンがなかったため本人へ確認したところ、「血糖を下げる薬は変えて 朝だけにまとめると言っていたけれど、そういえば血圧のことは先生何も言っていなかった」(確かにメトホルミンがないかわりに 朝食後のジャディアンスが10→25mgへ増量となっていた)とのことだったため、処方医へ問い合わせ。
→ミカルディス処方追加となった
(その際メトホルミン中止、ジャディアンス増量についても念のため確認した)。
●前回指導記録に、手持ち薬3種も一緒に分包した旨きちんと入力されており、分包機でもその履歴があったため気づいた例です。
もしも 分包も鑑査も終わり、投薬直前に履歴を見てor投薬中患者様との会話で気づいた場合、更にお待たせしてしまうため、分包という時間を要する方の場合は特に注意が必要だと感じました。

⑤脳外科からの継続薬処方箋について、いつも屯用下剤(センノシドorピコスルファート内用液、あるいはその両方)も一緒に出ていたが、今回は定時服用薬の1種のみだったため、手持ちが十分であるか またはあまり使用していないのか、付き添いの介護者へ確認。
特にそのどちらでもなく、次回受診まで2ヶ月以上あくことから、むしろ前回(35日分に対しセンノシド10回分、ピコスルファート1本)の倍程度欲しい旨返答があったため、処方元へ問い合わせ。
→センノシド20回分、ピコスルファート2本処方追加となった。
●以前から何度か、循環器と脳外で処方重複(循環器の方が受診日が先行しているため、いつも脳外処方時にバイアスピリン等数種重複について問い合わせ後削除となっている)していた方であり、今回その重複はなかったものの、屯用下剤も一緒に削除された可能性も考えられたことから、声かけ確認→問い合わせとなりました。

《6月度分プレアボイド報告》

☆本店より4件
①欠品分ノボリンNフレックスペン1本(2本は会計時にお渡し済み)について、薬剤管理者である家族が受け取り来店。
未開封のうちは冷蔵庫内(奥は凍ってしまう可能性があるため、ドア側がオススメ)で、使用開始後は直射日光を避けて常温で保管するようお伝えしたところ、その保管方法は知らなかったため全て常温で保管していたとのこと。
→上記保管方法での対応をお願いした。
●当店の履歴にはないが、以前ノボリンRフレックスペンを使用されていた旨、薬歴にあり。
使い捨てタイプのペン型インスリン製剤使用経験があること、薬剤変更や 同時に処方された他剤の説明が優先となったであろうことから、投薬時に保管方法までは説明していない・できなかった可能性があります。
いつもの薬剤でも、患者さんは意外とできていないこと・間違っていることがあるため、時々1点ずつ確認してみる必要がありますね。

②施設入居患者の定期処方が、以前は酸化マグネシウム錠330mg 2T/1×夕食後だったところ、今回は1T/1×となっていた。
前回処方→入院→退院後は退院処方より服用→今回の処方 となっており、退院処方は入院前と同用法用量(酸化マグネシウム錠→マグミット の変更はあったが)だった。
退院処方は入院前と比べセンノシドが中止となっていたため、今回も下剤を更に減量した可能性もあったが、センノシド中止で便秘し易い状況でもあるため、問い合わせ。
→2Tへ変更となった。

③昼のコンプライアンスが不良な在宅患者に、継続分として オダノン30mg 3T,トラネキサム酸250mg 3C/3× 28日分処方。
いつも昼の残薬が朝夕より多いこと、処方箋を持参された家族より『止血剤は今回で最後にする、と先生が言っていた』との情報があったことから、家族に残薬を確認していただき(朝8包、昼33包、夕16包:朝夕は他剤と一緒になっている)、昼分なし(残薬から服用)かつ朝夕は20日分への変更を医師へ提案。
→上記処方へ変更となった。
毎食前服用の五苓散も58包残があったため、28→9日分へ変更となった。
●残薬調整を毎回するのはなかなか大変であり、残が多くなったタイミングで何回かに一度行うのが実情かと思いますが、このケースは今回の処方で終了予定の薬剤であったこと、特に昼の残薬が多かったことから調整に至りました。

④今回脳外科の処方箋を持参されたが、先に出ていた循環器の処方(バイアスピリン、ランソプラゾール、カルベジロール等)と一部薬剤重複。
→循環器では4/7に91日分出ており、患者様へ確認したところ 次回の循環器受診日まで薬剤が足りるため、問い合わせを行い、重複分の薬剤は処方削除となった。
●処方箋受け取り・入力を担当した事務職からの報告です。
この患者様は以前にも複数回同様の問い合わせをしており(入院中に一方の科が2科分まとめて処方していたが、退院後は再度2科それぞれ受診となった経緯によるものと思われる)、今回受付を介して医師より『次回も同じことが起こりかねないため、受診時に患者から医師へ今回の重複の件を申し出るよう、患者へお願いして下さい』と指示がありました。

☆西荻店より1件
耳鼻科・歯科からの同日付け処方箋を2枚持参され、耳鼻科からはメイアクトMS100mg 3T/3× 7日分、歯科からはトミロン100mg 3T/3× 3日分処方。
共にセフェム系抗生剤であり、通常一緒に服用することはないと思われたため、まずは患者から聞き取りを行った。
耳鼻科受診後に歯科を受診したが、その際耳鼻科で処方があったことを伝えていなかったとのこと。
後から受診され、かつ処方日数の少ない歯科へ問い合わせたところ、局所麻酔を使用した処置を行っており 抗生剤処方とセットでないと保険請求ができないことから、処方削除はできないとのこと。
系統の異なる(マクロライド系)クラリス200mg 2T/2× 3日分に処方変更となった。

《5月度分プレアボイド報告》

5月度分プレアボイド報告と、半期の統計です。

本店より1件
・DMにて血糖降下薬複数種服用中の患者様の処方を家族が受け取り来店。
服薬指導時 低血糖有無について問うと、時々あるようで、すぐに板チョコ1枚摂るようにしているが、すぐには効かず、体調回復まで時間がかかるとのこと。
→α-GI(セイブル)服用中にて、お菓子やジュースではなくブドウ糖で対応すべきであることを説明。

《半期の報告》
5/20までの半期分(実際に報告を開始したのが1月末のため、実質4ヶ月程度ですが)について、統計をとってみたので報告です。
グラフはかえって見辛くなると思い、箇条書きで失礼します。

本店:計28件
●当該者(報告者)
薬剤師:6名、事務:1名

●当該者が薬剤師の場合、経験年数
1年目:1件、2〜5年目:2件、10年目以上:
24件

●当該者のなごみ歴
1年目:23件、2〜5年目:5件

●発見時(1件に対し複数選択の場合があるため、計28を超えます)
処方鑑査,鑑査:各9件、服薬指導:7件、調剤:4件、在宅:3件、施設:2件、受付,処方入力:各1件

●発端(1件に対し複数選択の場合があるため計28を超えます)
PC:18件、処方箋:6件、お薬手帳:3件、患者との会話,その他(ヘルパーや訪看からの相談):各2件、患者の訴え,患者の症状:各1件

●原因(1件に対し複数の場合があるため計28を超えます)
重複:5件、用法:4件、同種同効薬重複,併用注意,誤処方,その他(患者の希望、残薬あり等):各3件、処方漏れ,禁忌:各2件、副作用,剤形,特殊な状況(腎機能低下等),併用禁忌:各1件

●ケア
処方削除(うち1件は残薬調整時の処方日数変更も伴う):11件、用法変更,服薬指導:各4件、薬剤追加:3件、薬剤変更,薬剤減量:各2件、薬剤中止,剤形変更:各1件

●重複投与・相互作用等防止加算:8件

西荻店:計5件
●当該者(報告者)
薬剤師:2名

●当該者が薬剤師の場合、経験年数
2〜5年目:3件、10年目以上:2件

●当該者のなごみ歴
1年目:2件、2〜5年目:3件

●発見時(1件に対し複数選択の場合があるため、計5を超えます)
服薬指導:4件、鑑査:3件、処方鑑査,その他(不足薬お渡し):各1件

●発端(1件に対し複数選択の場合があるため計5を超えます)
患者との会話:4件、患者の訴え,その他(初回アンケート):各1件

●原因
その他(アレルギー,患者の希望等):3件、誤処方:2件

●ケア
薬剤変更:3件、用法変更:2件

●重複投与・相互作用等防止加算:8件

※本店では同一薬剤及び同種同効薬の重複による処方削除が多いようですが、発端は圧倒的にPCが多いため、しっかり薬歴を確認することが大事ですね。
これなら経験年数によらず、1年目の方々も今後報告につながるのではないかと思います。
また、お薬手帳をたまたま持参されなかった場合、前回の服薬指導記録中 併用薬欄を参考にするため、やはり投薬前のPCチェックのみならず、投薬後にきちんとした記録を入力する(次回参照に役立つ内容を)ことも大事だと感じます。
西荻店では患者との会話から薬剤や用法の変更になるタイプが多いようで、お渡しするお薬の内容はもちろん、併用薬や個人の嗜好等(時には一見無関係と思われる日常会話も)ききとりが重要だと感じました。

日々多忙故、皆さん報告書を記入していないケースもあるかと思います。
今後のためにも、ぜひぜひ沢山の報告をお待ちしています。