〜Stop and smell the roses〜
気づくと入社後半年以上経過しました。学生気分が徐々に抜け、社会人生活に慣れてきたような気がします。服薬指導を始めた当初は患者さんへどう説明するかで頭がいっぱいでしたが、今は患者さんのお話を聞く余裕が持てるようになってきました。少しずつ慣れてきたのだと思います。今後もより患者さんの思いを汲み取れるように精進していきます。
最近は秋の花粉症を訴える患者さんがちらほらいらっしゃるようになりました。ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどが原因の一つと言われております。治療としては抗アレルギー薬の飲み薬、くしゃみや鼻詰まりが強い時は点鼻液、目が痒い時は点眼液を使用することがあります。
薬の種類はたくさんあるのですが、今回は鼻へ直接噴霧して使用する「点鼻フルナーゼ点鼻液50μg28噴霧用/56噴霧用」について取り上げたいと思います。この点鼻液をプッシュすると香りを感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?私はハンドクリームにありそうな香りを感じました。添付文書で調べてみると「特異なにおいがある点鼻液」と記載されています。「特異なにおい」の正体が気になるので含有成分を調べてみました。おそらくフェニルエチルアルコールが原因と考えられます。バラの香りに例えられ、香料として使用されます。ちなみに化粧品(洗顔料、スキンケア、ハンド・ボディーケア商品など)に含有されているようです。また香りを嗅ぐことでストレス軽減や抗不安作用があると言われています。
フェニルエチルアルコールは抗菌作用を有しており、防腐剤としても使用されます。フルナーゼ点鼻液ではこの目的で含有されていると思われます。
ちなみにグラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社から医療用と同成分含有された市販薬が発売されています。忙しくて病院に受診できない方はドラッグストア等での購入も一つの方法だと思います。
偶然なのか、英語圏にはこのような諺があるようです。”Stop and smell the roses.”直訳は「立ち止まってバラの香りを嗅ぐ」ですが、転じて「人生を楽しむ/ゆっくりする/リラックスする/羽根を伸ばす」の意味になるそうです。科学的根拠と昔からの言い伝えの一致は偶然なのか、面白いところです!
最後に、薬以外での花粉症の暴露を防ぐ方法をいくつかご紹介します。
・マスク。マスク(市販のマスクでOK)の内側にガーゼを当てると鼻に入る花粉が減少する。
・メガネ。
・花粉の着きにくい服装。ウールは花粉が付着しやすい。
・室内の換気・掃除
・手洗い・洗顔
・正常な免疫機能を保つために規則正しい生活をする、睡眠をとる。
※『花粉症環境保健 マニュアル 2022』(環境省)参照。
こちらに詳細が書かれていますのでご興味のある方はご参照ください。
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf