「薬剤師が活かすアロマセラピー」

【勉強会参加報告】

6/19 浅草薬剤師会による研修会「薬剤師が活かすアロマセラピー」

●第十七改正日本薬局方収載の精油(精油名、主成分、適用)

・ウイキョウ油(フェンネル):anethole

賦香料、配合剤(胃腸薬)の原料

・オレンジ油:d-limonene

賦香料(製剤用)

・ケイヒ油:cinnamaldehyde

賦香料(製剤用)、芳香健胃薬

・テレビン油:α/β-pinene

外用

・チョウジ油(クローブ):eugenol

局所麻酔・鎮痛・殺菌

・ハッカ油:menthol

芳香健胃薬・局所刺激剤(パップ剤)の製造原料

・ユーカリ油:1,8-cineole

賦香剤・うがい薬 去痰薬に添加

●嗅覚の特徴

・嗅神経細胞は終生絶え間なく再生を繰り返す

・効果的に刺激することで嗅神経細胞が再生される

・香りの刺激は海馬に伝わり 海馬や周囲の神経細胞の働きを活性化する

・香りを嗅ぐことで記憶が蘇る(プルースト効果)

●嗅覚とアルツハイマー型認知症(以下、AD)について、現在迄に報告されているもの

・ADにおいて嗅覚機能が低下する

・ADにおいて嗅覚障害が初期の段階で現れる

・嗅覚障害がある場合ADになるリスクは4倍

・ADでは左右の嗅覚に差が現れる

●認知症における非薬物療法において、刺激に焦点をあてたアプローチとしてアロマセラピーが、行動に焦点をあてたアプローチとして回想法がある。

→前述の「嗅覚の特徴」を考慮すると、例えばADの方やその予防をしたい方に、昔使用していたのと同じ化粧水や香水を使ってもらうことで嗅神経細胞が再生され、海馬や周囲の神経細胞の働きが活性化し、記憶が蘇ることが期待される。

プルースト効果の面では、知らない香りではなく、記憶と結びつく香りを提示すること。

●薬剤師によるアロマセラピーの活用

・嗅覚低下の早期発見(AD患者)

・嗅覚の識別テスト→何気ない会話の中で、相手を傷つけずにさりげなくチェックできる

・認知症予防の提案(※)

・BPSD(認知症における 行動・心理症状のこと→暴言や暴力、興奮、抑うつ、不眠、昼夜逆転、幻覚、妄想、せん妄、徘徊、もの取られ妄想、弄便、失禁など)対応(プルースト効果の活用)

・セルフメディケーションの提案

・コミュニケーションツール

※認知症予防の精油

①朝の精油:交感神経を刺激し脳を活性化

ローズマリー(カンファー):レモン=2:1

②夜の精油:副交感神経を刺激しリラックス

真性ラベンダー:オレンジスイート=2:1

●アロマクラフト提案時の注意

・効果は表示しない→雑貨である精油を用いた個人作成物であり、医薬品ではないため

・作成はご本人・家族→自分のために作り自己責任で使用することが前提であり、薬剤師か作成したものをあげてはいけない

・材料と容器の選定→視覚から入るのは大事だが、かわいいからといって安易に選択しないこと。ガラス製又は耐薬品性のプラスチック製(PE,PP)遮光容器を使用

・パッチテストを行う→例えばキク科アレルギーの方に禁忌の精油もある

●研修会の様子

病院の院内製剤(緩和ケア・口腔ケアとして、口臭予防咳嗽液)や、診療所内の製剤を参考にした鼻腔乾燥予防クリーム(使用により、度重なる耳鼻科通院がパッタリなくなった)のレシピ紹介もありました。

認知症予防の精油①②を実際に嗅ぎ分けてみたり、雑貨としての精油だけでなく局方品の精油も用いた消臭スプレーや乾燥肌対策のラベンダーローション(布団に入るたびに掻痒感を訴える老人の乾燥肌に重宝するそうです)を実際にその場で作成してみたりと、座学だけにとどまらず楽しい研修会でした。

●感想

外来患者に薬局内で、在宅患者に訪問時、アロマクラフトの提案ができ、かつ経過がよければ、例えば認知症の薬剤・抗アレルギー薬・睡眠薬・抗不安薬や、それら薬剤による副作用対策の薬剤も減薬・中止できる可能性があるため、より知識を深めつつ、実践できるようにしていきたいなと思いました。

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