2018 日本在宅薬学会に参加してきたので報告

7/15、16と日本在宅薬学会に参加してきたので報告します。
在宅医療、地域包括ケアシステム、ポリファーマシーをはじめ幅広い発表がありましたが、講演ごとではなく項目ごとにまとめ直してみました。

(なごみ薬局では、学会への参加費を助成しています。薬剤師募集中です!)

◯薬剤師の業務のこれからについて
これまでは、処方せん鑑査→調剤(鑑査)→服薬指導、の流れで完結していた。AIの発達により、これらの業務は今後はロボットでも代替できるようになる可能性が高い。
重要になるのは患者さんが薬を飲んだ後までフォローする事で薬物治療の質を向上させる。例えば薬剤師もバイタルサインチェックを行い、前回処方の妥当性評価、次回処方への提案・処方設計への介入をしていく必要がある。薬剤師の介入により医師の診断に薬学的知見を組み込む。
薬剤師によるバイタルサインのチェックについては賛否あるが2014年に改正された薬剤師法第25条-2を根拠の一つとして、違法ではないと認識されている。
今年度の診療報酬改定で新設された「服用薬剤調整支援料」も薬剤師による処方提案を後押しする材料。

◯ポリファーマシーについて
高齢化に伴いポリファーマシーが問題になっているが、ポリファーマシー対策のアウトカムは何か?薬を減らすことが目的になってはいないか?あくまで患者の健康状態の維持・向上を目的として処方見直し、薬物療法の適正化を行う。アンダーユース(使うべき薬が処方されていない)などの問題もある。「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015」という書籍(本店に一冊あります)に開始を考慮すべき薬のフローチャート、総コリン負荷、SCAP法(クロルプロマジン換算)など載っているため参考にする。薬剤師の役割に言及されいる部分は必読。

◯オンライン服薬指導
以前から過疎地に限り医師によるオンライン診療ができるようになっていたが、ここ2〜3年で国としてオンライン診療を推進する方向に舵を切り、ガイドラインも整備されつつある。今回改定から新たに評価の対象になっている。
それに伴いオンライン服薬指導についても政府の規制改革推進会議が早期実施を提言し、今年度中に愛知県、福岡市の離島、山間部と兵庫県養父市全域で実証実験が始まる。薬剤師の場合は薬機法で服薬指導を対面でおこなうことが義務付けられており、国家戦略特区での実証実験実施ということで、地域は限定する。
また、アメリカではAmazonがネット薬局を買収し話題になっている。

オンライン診療のシステムについて追記。
既にオンライン診療で使われているシステムYaDocは「モニタリング」「問診」「診察」の機能を有する。問診内容は患者の疾患ごとに設定され、バイタルサインと共にスマホ上で入力しておくと医師が診察前にしっかりと患者の症状を把握することができ、データも経時的に確認することも可能。
https://www.yadoc.jp/

◯在宅でのICTの活用
三重県の事例。ICTの活用により夜間救急クリニックや介護関係の多職種との連携強化につながった。
深夜の電話のやりとりに医師がストレスを抱えていたのが導入のきっかけ。電話やFAXを使用せずスマホ等でリアルタイムでの情報共有ができ、多職種間でも気軽に相談できるようになった。
とても有用だが、課題は他の医療機関の参入がないこと。医師が積極的でないと難しい。他の事例で千葉県柏市ではうまくいっているが、こちらは自治体主導で医師会が全面協力している。
発表者のおすすめは帝人ファーマのバイタルリンク。何社か試したが使いやすいとのこと。
https://medical.teijin-pharma.co.jp/zait…/product/vitallink/

以上です。長くなりすぎないよう、省略した部分も多々あります。
質問、疑問がありましたら気軽にお声がけ下さい。

(なごみ薬局では、学会への参加費を助成しています。薬剤師募集中です!)
Hさんも参加。感想とスライドを共有します。
地域包括ケアを積極的に推進している地域の講演では、地域を巻き込むリーダーになるのに役職は関係なく、医師、薬剤師、ケアマネージャーなどそれぞれの立場の人が積極的に行動し、計画を推進していた。他職種の連携、協力は必要となるが、行動を起こすのに立場は関係ないことを学んだ。
今回の学会では今後薬局薬剤師がどうあるべきかを、どのようになっていくべきかを考えさせられた。薬局にいてできることは減ってきており、今行っている業務の半分位はIT化されより正確に行えるようになっていき、今までのビジネスモデルでは立ち行かなくなることが目に見えている状況で、薬剤師の強みを活かして医療に貢献していく覚悟が必要と感じた。
以上になります。

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