【勉強会報告】
e-ラーニングにて「OTC:乾燥肌とスキンケア」を学びました。
医療用薬剤にも応用のきく部分があるかと思いますので、報告します。
乾燥肌・保湿ケアというと冬のイメージがありますが、紫外線が乾燥肌の原因になることもあり、夏も注意が必要です。
・乾燥肌の起こりやすい部位
前面:腕、腰、脛→汗や皮脂の分泌が少ない
後面:肩、太腿付け根、ふくらはぎの内側 等
→衣服とこすれやすい
・皮膚は表面から順に表皮→真皮→皮下組織からなるが、表皮にある4層のうち一番上の角質層は「潤いを保つ」「バリア機能」といった働きを有する
・角質層の構造
皮脂膜:水分の蒸発を防ぐ、刺激の軽減 等、天然のクリームの役割
角質細胞間脂質(主にセラミド):水分保持
角質細胞内の天然保湿因子(尿素 等):水分保持
・乾燥肌の原因
加齢:新陳代謝低下、皮脂分泌量低下(10〜2代で最大、乳幼児も少ない)
体質・遺伝:アトピー性皮膚炎 等のアレルギー体質
・乾燥肌が生じる皮膚疾患
①乾皮症:皮膚が乾燥し、白い粉をふいた状態→悪化すると、
皮脂欠乏性湿疹:湿疹、痒みがひどい
②貨幣状湿疹:コイン状の湿疹、強い痒み、ジクジク(湿潤)・かさぶた 等
・乾燥肌が生じる基礎疾患
糖尿病、腎臓病
・乾燥肌の対処法:スキンケア
①保湿剤の使用(水分の増加・保持)
症状が悪化する、湿疹があらわれた場合…
②ステロイド外用剤の一時的な使用
・薬剤選択上の注意
尿素:目のまわり、粘膜、ひびわれ、ただれ、赤く腫れている部位には使用しない
ヘパリン類似物質:出血性血液疾患のある人(血友病、血小板減少症、紫斑病)、わずかな出血でも重大な結果を来すことが予想される人
・ステロイド外用剤
strongert,very strong,strong,mild,weakの5段階中、OTCはstrong,mild,weakの3ランクのみ
皮膚の弱い人(高齢者、乳幼児)や顔面への使用はmild,weak
・ステロイドの禁忌
細菌,真菌,ウイルス性の皮膚感染症および動物寄生性皮膚疾患の人
緑内障,白内障の人→長期・大量の使用で眼圧が上昇することがあるため、そのような使用法とならないように、という意図の様子
潰瘍のある熱傷,凍傷の人
※妊娠中・授乳中の人:大量使用,長期間,広範囲の使用は安全性が確立していないため、使用は避けること
・剤形の種類と特徴
軟膏:刺激が少ない、油脂の含有量が多い(感想が強い人にgood)
ベタつきがある
クリーム:使用感がよい、浸透性がよい
刺激性がある
ローション・乳液:有毛部位や広範囲に使用、顔などの皮膚の薄い部位
※夏場はローション・乳液、晩秋〜冬は軟膏、クリームはオールシーズン 等季節で使い分けるのもよい
・保湿剤の使用法
1日数回、擦り込まないように広範囲に・体のシワに沿って塗る
軟膏・クリーム:人差し指の第一関節までの量
乳液・ローション:1円玉大
→これらがいずれも掌2枚分
入浴後5〜10分以内に塗布(その前に水や化粧水をつけておくとなおよい)
・ステロイド塗布時の注意点
上記の目安量を、擦り込まず薄く塗る
広範囲に大量に塗らない
5〜6日間を使用期間の目安とする
顔面への使用は5g/日以内とし、かつ1週間以上使用しない
目のまわりへの使用は避ける
・重大な副作用
リドカイン(局所麻酔成分)入りの場合、ショック症状(発赤,悪心,息苦しさ,冷や汗,めまい 等)出現の恐れあり→出現したら医療機関を受診
・尿素・ヘパリン類似物質の主な副作用
かゆみ,発疹・発赤,かぶれ,腫れ,刺激感(痛みやピリピリ感),皮膚がはがれる
特に尿素製剤は、使用直後 一時的にしみることがある
・ステロイド外用剤の主な副作用
発疹・発赤,かゆみ,白癬症,にきび,化膿,持続的な刺激感,皮膚萎縮,多毛
・スキンケア
毎日入浴
38〜40℃の湯
木綿の柔らかいタオルや手で体を洗う
弱酸性の石鹸を使用
入浴剤の使用に注意する(タンパク分解酵素やイオウ 等好ましくない成分を含有している場合があるため)
・生活指導
肌着は木綿や刺激の少ない素材のものを
アトピー性皮膚炎の場合柔軟剤を避ける
・乾燥肌を防ぐ食事
ビタミンA・Eを積極的に摂取→レバー,うなぎ,緑黄色野菜,豆類
かゆみがある場合は香辛料や刺激の強い食事を避ける